姫君-アンリエッタ-
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シュウのいた世界を、仮に『ネクサスワールド』と呼称しよう。その地球の黒部ダム地下の湖の下に存在する基地『フォートレスフリーダム』の作戦参謀室。その日もイラストレーターこと吉良沢優がいた。未来の一部を見ることができる能力を持つ彼は、その日見ることとなった。
この世界でもかつてそうだったように、再び闇の巨人ダークファウストと、ナイトレイダーたちが共に戦友として戦ったウルトラマンネクサスの交戦する姿が。
「ファウストが、なぜ…?」
ファウストは、『冥王』が作り出した存在。その冥王がこの世界の一年前に、ウルトラマンの手によって宇宙の塵となった。にも関わらず、自分の予知の中にその存在を示したことに彼は奇妙なものを覚える。
「この目で確かめることができたら、どんなに面白かったかな」
でも、もうこの世界にウルトラマンはいない。この地球ではないどこかの世界だろう。直接見ることはできないことを残念に思う。
…いや、自分はここでやらなくてはならない仕事が山積みだ。そちらの方に集中しよう。優はそう心に決めて、コンピュータのディスプレイ画面と再び睨みあった。
浮遊大陸、アルビオン。
この国は、以前にも言っていたと思うが王室を倒して新たな政権を築こうとしている組織『レコンキスタ』による反乱が起きていた。レコンキスタはハルケギニアにおいて神として崇められし者『ブリミル』の降り立ったとされる地、『聖地』の奪還を目的とし、その足がかりのためにハルケギニアの統一を掲げて、やがて人間に敵対するエルフに戦いを仕掛けるつもりでいた。だが、これは決してほめられたことではない。王政に対する謀反など恩知らずと言う見方も取れる上、昨日まで平和に生きていた人々から見れば迷惑行為でしかなかった。少なくともレコンキスタが乱を起こすまでの間、アルビオンは少なくとも平和だったし、民たちからも決して失望されるほど腐ってはいなかった。
にも拘らず、レコンキスタの長である男『オリバー・クロムウェル』はこともあろうか、自らが失われし伝説の系統『虚無』の担い手、始祖の意思を受け継ぎし選ばれし者と称して王政に反抗したのである。これを王党派が見逃すはずもない。始祖の名をかたり、無用な戦を起こす不届きな輩の蛮行を許すわけにはいかなかった。
「全軍突撃せよ!あの身の程知らずのレコンキスタに始祖のご加護を受けし我らの正義の鉄槌を下すのだ!!」
ある平原でついに本格的にぶつかり合った王党派軍と、貴族派ことレコンキスタ軍。最初のレコンキスタはまだ起こったばかりの弱小軍団だった。しかし、負けていたのは最初の内だけだった。
「た、大変です!第13部隊のド・グランツ元帥が変心!!こちらに攻撃を仕掛けています!」
伝令兵がこの時の闘いの前線指揮を務めた王党派貴族に知らせた。
「グランツ殿
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