禁断の果実編
第83話 企み事
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湊さんからみんなに伝えてよ。僕が来てたって」
「イ・ヤ。何で引き留めなかったんだって、若干一名うるさそうだもの」
口ではこう言うが、湊はきちんと伝えてくれるだろう。
「オーバーロードと話をつけた。今、僕と彼らは協力関係にある」
藪から棒の近況報告に、湊は目を丸くした。
「上手く取り入れたんだよ。彼女、ゆくゆくは僕に人類の管理を任せるとまで言ったんだよ? オーバーロードの王とやらの存在までしゃべってくれた」
「彼女?」
「レデュエ。翠のオーバーロード。タワーを占拠してる奴だよ。彼女に利用価値があると思い込ませるのはちょっと骨が折れたけど」
光実は適当に歩いて、くるんと湊をふり返った。
「湊さんはさ、まだ知恵の実が欲しい?」
「――どういうこと?」
「欲しいんなら、横取りするチャンスをあげてもいいよってこと。今まで色々お世話になったからね。僕なりのお礼のつもりなんだけど。どう?」
「残念ね。誰もが君の思惑通りに動くわけじゃないわ。私はシドとは違う。王になりたいわけじゃない。王をこの手で生み出したいのよ。王になろうとする人間の生き様を、この目で見届けたいの」
「……意外。なんだか時代劇の北の方とかお局様みたいだね」
睨まれた。「お局様」は女性には嬉しくない表現だったかもしれない、と光実はちょっとだけ反省した。
「とにかく。あなたが知恵の実を欲しがってないんなら、僕にも好都合だ」
「私を利用して、今度は何を始めるのかしら」
光実はニコリと笑った。
「僕が目隠しになってあげる。だから、湊さんたちにもがんばってもらおうかな」
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