マクロスF
0687話
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ラーディに地球を滅茶苦茶にされて、その手の伝統芸能は殆どが失われたと聞いたが……ある意味しぶといというか、さすがというか。
江戸時代の火事の時に、ウナギ屋が店が燃えているのに真っ先にタレを持ち出したってのを以前何かで見たか読んだかした覚えがあるが、そんな感じで歌舞伎も生き残ったのかもしれないな。
「ルーカー!」
だが、アルト本人としてはその辺の事は言われたくなかったらしい。どこか凄むような目付きでルカへと食って掛かり、肝心のルカは冷や汗を滲ませながら何かを誤魔化すような笑みを浮かべている。
「そんなに怒ることもないだろ?」
「うるせえっ! お前に何が分かるってんだ!」
余程に触れられたくない事なのか、アルトがそう叫び……次の瞬間我に返ったかのように舌打ちして視線を逸らしながら座り込む。
その様子に一瞬だけ気まずい雰囲気が広がったのだが、数秒後には周囲にざわめきが響き渡り、あらぬ方向へと視線を集める。
「何だ?」
「ちょっ、あれ、ほら。シェリルですよシェリル!」
アルトの訝しげな声に、ルカの興奮した声が返す。
その視線の先には、確かにこれまでにも何度かTVで見たシェリルの姿があった。マネージャーらしき青紫の髪の女もTVで見た事が……ん? 魔力や気を殆ど感じない? あぁ、いや。そう言えばシェリルの故郷でもあるマクロスギャラクシーはサイボーグとかが一般的だったのか。ボディガードとしての役目も考えれば、おかしくない……のか?
微妙に違和感があったが、次の人物へと視線を向ける。そこには新統合軍の制服を着た女の仕官の姿があった。他にもシェリルのお付きだろう複数の人々が周囲に群がっている。
「確かにこうして見ると、それっぽいカリスマがあるな」
「ですよね、さすが銀河の妖精と呼ばれているだけはありますよ! アクセル君もそう思わない?」
「うーん……ん? ああ、そうだな。確かに雰囲気はあるよな」
「アクセル君?」
アルトに興奮したように話していたルカだったが、シェリルを見て首を傾げている俺へと向かって訝しげに尋ねる。
「いや、何だろうな。ちょっとした既視感が……」
「あ、もしかしてフロンティア船団に来る前にシェリルの生ライブを見たことがあったり?」
「そういう事じゃ無いんだが」
そもそも、この世界に来たのは純粋に事故なんだから、そんな事がある筈がない。だが、それにしてもこの既視感はなんだ?
「アクセル君?」
「いや、何でも……」
ルカの言葉にそう答えた時だった。まるでそのルカの声が聞こえてでもいたかのように、不意にシェリルがこっちを見る。
俺と視線が合ったその瞬間、シェリルの整った顔が驚愕に見開かれるも、次の瞬間にはすぐにその驚愕を消す。
一瞬だったとは
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