第35話「ガンツと俺」
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るのだろう。
「御主人、オ気ニ入リノ刹那ガ襲ワレテルミタイダガタスケナイノカ?」
その言葉に「あいつはどうとでもするだろう」と言い捨ててさらに言葉を続けた。
「……そんなことよりあのデカブツとタケルの動きを見ておけ」
――なかなか面白いことになるかもしれんぞ?
悪党めいた笑みを浮かべて視線を彼の元へと送る。ご機嫌な御主人に従い、茶々ゼロもそれにならって呟く。
「ヘ〜、ソレジャマダマダ気楽ニイクトスルカ」
それを聞き流し、エヴァンジェリンの意識は既に眼下にあった。
――さて、奴はなかなかに厄介そうだが……アイツも本気の姿を見せるか?
アイツとは当然、タケルのこと。
本気の姿とは強化スーツを着用した時の彼のことを言っている。
そして、奴とは当然――。
「なんにせよ貴様の最後の戦い、じっくりと見届けてやるさ」
エヴァンジェリンの言葉は闇の空に舞い、消えていく。
タケルの正面。
学園結界が再起動したおかげで動くことが完全に不可能になっていたはずの巨大ロボが、なぜかそびえたっていた。
全長十数Mはあるであろうその巨体。生えている腕や足が妙に艶かしく、現在は星人としてその姿を変容させているとはいえ、元々がロボだったとは思えないほどに生々しい。
まるでスーパーロボットの如く立ちはだかるその姿は、タケルを震撼させるに十分な威容を誇っていた。
以前に京都で戦った両面宿儺らしき星人も対峙しただけで鳥肌がたったが、今回も同様な威圧感を感じている。
いきなり動けば簡単に殺されることになる。ステルスも無駄だろう。
それを本能的に感じさせる敵だ。
――生身で戦っていい相手じゃないな。
ガンツスーツが既にその効果を失い、それ故に元々ガンツスーツの上から着る必要のある強化スーツも、必然的に扱うことが出来ない。絶望的なこの状況に、それでもタケルは嘆息を吐き、ただ見据える。
互いの距離は10Mといったところだろうか。
コレほどまでの巨大な存在に、こんな近くまで気付かなかったのはそれまでコントローラーに表示されなかったせいもあるだろうが、何よりも星人そのものに動きがなかったからだ。
それが、ここにきていきなり動き出した。
――マズイな。
周囲に目を配らせるも、壁となってくれそうな大きな障害物は見当たらない。
じっとりとした緊張感が体を駆け巡り、汗が頬を伝い落ちて行く。
「ふっ……ふっ……ふっ」
一定のリズムで呼吸を繰り返す。どんな攻撃が来てもすぐに動けるように膝を軽く沈みこませ、身構える。
タケルが持ち前の警戒心を最大限に発揮している最中、巨大ロボは
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