第35話「ガンツと俺」
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ンで次々と敵を撃ち抜いていく。
Zガンは当面必要がないことがわかったので、置いてきた。Xライフルも両手で構えるには少し扱いづらいため同じ。いざとなればまたガンツに転送させれば済むだけだ。
相手の視覚範囲は75M前後。約100M離れてさえいれば、どれほど敵にその姿を晒そうが関係ない。そういった距離感に関しては必死に体に備え付けてきた。体の感覚が狂わない限り、それが外れることはまずないと、自信を持って言い切れる。
心配なのは100Mという長距離射撃での自分の腕前だが、相手の動きが遅い、というかほとんど歩いているだけなのでそれもどうにかなっていた。
「ふっ、ふっ」
少しでも息が切れないように、意識的に一定の間隔で呼吸を繰り返す。
ときどき、コントローラーに目を配り、異常が起きていないことを確認しつつ敵を撃破していく。最早機械作業となりつつあるこのミッションを、それでも油断なくタケルは走り抜ける。
どれほど安易なミッションだろうと、どれほど楽なミッションだろうと、油断だけはしてはいけない。
油断は即ち、死。
既に体が覚えていることだ。
ギョーン。
これで何度目だろうか。
時に立ち止まり、時に物陰に隠れ、そしてそれ以外はほとんど走り続けて。
100回以上は引いた引き金を、それでも引き続ける。
血の池がそこかしこに出来ていた。
別に何かが珍しいことではない。ただ、この世界に来てからの大量ミッションが初めてなだけのこと。
寧ろ、今までと違いこの地―麻帆良―を理解しているだけ、地の利があって戦いやすい。
フと、ここに来る前のことを思い出していた。
―――――――――――――――
あれは、いつの時だったろうか。
タケルが、自分以上の圧倒的な敵星人の存在を目の前にして、まだ歓喜ではなく恐怖を覚えていた頃のこと。
ガンツのミッションに慣れ始め、まだタケルが自分を壊れていると認識できていなかった頃のこと。
いつも通り、ガンツに表示されたアテにならない情報の星人に勝利して、まだタケルが自分の命があることにホッと息をついていた頃のこと。
そして、まだ。
新しく送られてきた人間と一緒にタケルが戦っていた頃のこと。
あれは今回以上に大量ミッションの時だった。
1体につき1点。その数は約400で大量ミッションにもかかわらずボス格はいなかった。
タケルを含む9人の経験者と3人の新参者で始まったミッションも、1人死に、2人死に……そして気付けば経験者が4名残るのみとなっていた。
この時、敵の数は残り120。数だけ見れば不可能ではないかもしれないが、実にその状況は最悪だった。
周
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