第35話「ガンツと俺」
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とりあえず、あるていどの予防線となる結界を張ること。そしてもう1つは――
「お嬢様、タケル先生が危険に陥った時にここが安全そうならばタケル先生の援護に駆けつけても構いませんか?」
「え? でも、タケル先輩の動き……わかんの?」
その質問にすぐには答えず、懐から専用の符をいくつか取り出す。
「これは、特殊な符を貼り付けた人間の視点を共有できるものです。そして、失礼とは思いましたが戦闘中、勝手にタケル先生に一枚の符をつけさせていただきました」
よどみなく当然のように言う彼女はさすがは仕事人といったところだろう。先ほどの戦闘でタケルが逃げ出した時に逃がさないための罠を既に用意していたということだ。
「おお、それがありゃ旦那の動きも一発じゃねえか」
――さすが、姐さんだぜ!
さっきから調子のいいことばかり言っている――気がするカモの言葉に肩を竦め、木乃香を見つめる。
それが、先ほどの言葉の返事を待っているということに気付いた彼女はハッとした表情を見せ、そして嬉しそうに頷く。
「当たり前やん!!」
「ありがとうございます」
礼を言い終えるや否や「オン」と呟き、符に魔力を込める。途端に符が光りだし、符に触れたものにタケルの視覚情報を伝える。
「さ、これに触れてください」
言われた通りに符に触れた一人と一匹が感嘆の声を漏らし、それに集中する。
――よし、後は。
それを見届けた刹那は一度そこから離れ、結界作りに専念するのであった。
告白阻止用に設置された衝撃吸収装置の場所は既に把握していた。あとはそこへ落下するだけ。
百Mという高さをただひたすらに落下する。
落下する体が風を切る。
――とりあえず、彼女たちの心配は後回しだな。
浮遊感が彼の体を包む中、頭の中が徐々に切り替わっていく。先ほどまでの温い世界は既にない。
自分は一人。それで十分。
思考は切り替わる。温かい心から鉄の心へ。先ほどまで浮かんでいた生徒達の顔は今や遠い世界へと霞み、モヤに包まれた。
彼がガンツへとその足を踏み入れた。
――よし、いける。
一気に近づく地面に、だがタケルの表情に恐怖はない。
コントローラーで敵の位置を特定しつつ、呟く。
「ガンツ、ZガンとXライフルだ」
声と同時、衝撃吸収装置に落下。
「っ」
なんとも不可思議な感触がタケルの体を一瞬だけ包み込み、僅かな浮遊感を覚えた後、気付けば地面に鎮座していた。
「……ふぅ、成功だな」
やはりいつの間にか転送されていたZガンを右手、Xライフルを左手に握り締めて、その直後には近くの物陰に隠れていた。
「
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