第34話「ネギまと俺〜倒錯する想い〜」
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その問いに、彼女達は逆に驚いた顔を見せて言う。
「当たり前ではないですか」
「今から下でタケル殿が暴れるというのに、拙者たちだけ指をくわえて見ていることなどできないでござるよ」
後ろからは「せっちゃん、頑張ってやー」と何とも呑気な声が響く。
「一緒に戦ってくれるということか?」
聞く時間すら惜しい。というのにまたもや自然と口が開いていた。彼女達の実力が信頼できるものであるということは知っている。いつもならば即座に歓迎して、さっさと下に向かっているところだ。
だが、それでもやはり。聞かずにはいられなかった。
――もしかしたら感じたかったのかもしれない
彼女達といたのは僅か数ヶ月。
それでも、これほどまでに充実した人生を感じたのは何年ぶりのことだっただろう。
「にんにん」
「あたりまえです」
「……そうか」
微かに緩んだ表情で呟く。
「ありがとう」
――いや、ただ少しでも。彼女達の優しい言葉を聞きたかっただけなのかもしれない。
彼女達といたのは僅か数ヶ月。
それでも、少しは彼女達にとって心に残っていられるだろうか。少しは覚えていてくれるだろうか。いなくなった自分に、関心を示してくれるだろうか。
気付けば楓に恋をして。ネギや親しくなった生徒たちには安らぎを覚えて。エヴァには世話になっていた。
ミッションの中で生きてきた。
最初こそ慣れることのなかったミッションも、気付けばそのミッションにこそ生きがいを覚えるようになり、そしてまた気付けば生活サイクルの一部と化していた。
そんな俺がこの数ヶ月。
たったの数ヶ月をこの学園で過ごしただけで。
学園こそが、生徒達に会うことこそが生活サイクルの一部となっていた。
だから、彼女達が自分を手伝ってくれるという言葉――
それは自分を気遣ったわけではないのかもしれない。
ただ、学園や友人たちを危険に晒させたくなかっただけなのかもしれない。
それでも。
――嬉しくて、嬉しくて。
こうして本気で表情が緩んだことは、それこそ10年来のことかもしれない。
どこかぎこちなく微笑んでいる自分が、少し可笑しくて。
だから。
ギョーン、と。
奇妙な音が響いていた。
気付けば向けられていた銃口を、刹那と楓が不思議そうに見つめて「「え?」」
どさりと。
楓が
地に伏した。
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