第34話「ネギまと俺〜倒錯する想い〜」
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要がなくなったせいなのかもしれない。
「――ほらー、やっぱりやったえ?」
「い、いや……確かにこのか姉さんの言った通りになったけど……恐れいったぜ、全く」
後ろで話す声すらも鮮明に耳に届く……いや、というよりも後ろで話す彼女達の声のボリュームが大きくなっただけのような気もするが。
言葉から察するに近衛さんは最初から俺を信じてくれていたということだろうか。
確かに、最初に囲まれた時も彼女の目からは不信感というよりも不思議そうな色しかなかった気がするが。
「なぜだ?」
――こんなことを聞いている場合ではない。
既に星人が出現して約5分の時が流れている。
さっさと下に行かなければならないことは分かってはいたのだが、それでも聞かずにはいられなかった。
「近衛さんは最初から、俺を疑っている様子が無かったが……なぜだ?」
その言葉に、驚きの表情を見せた楓と刹那。2人もはじかれたように木乃香を見つめる。
「え? ……う〜ん」
突如、問われた彼女は恥ずかしそうに、それでいて困ったように頬をかき……そして言い放った。
「先輩、そんなことする人ちゃうって知ってるから……かなー?」
呑気な声が響いた。
誰もが疑いの目を向ける中、ただそんな理由でタケルを信じ続けた。
楓も、刹那も、超もカモも、そしてタケルも。
柔らかな微笑みが彼等を包み込んでいた。
――もしかしたら聞きたかったのかもしれない。
彼女達といたのは僅か数ヶ月。
それでも、そんな短い時間で心の底から微笑むことができたのは何年ぶりのことだっただろう。
「そうか、ありがとう」
彼女達に背を向けて、眼下に広がる大きな大地に目を配る。
――さて、どこにあったか?
スーツが生きていたなら足から着地さえすれば問題のない高さだが、今回はそうもいかない。まさか生身で降りられる距離でもない。
とりあえず降りる方法を探す必要があった。とはいっても既に心当たりがあるので、あとはそれの位置を確かめるだけ。
――見つけた。
タケルが告白阻止のために使っていた特殊な衝撃吸収装置。変なマットらしきモノが大きく広がっていたので見つけるのは簡単だった。
この高さからそこに落ちても無傷という保障はないが、それでも死ぬことはないと断言できる。結構に優秀な装置なのだ。
確認を終えたタケルに、後ろから声が。
「拙者たちも行くでござるよ」
「タケル先生、今回はどのような化け物たちと?」
「……なに?」
既に戦闘態勢に入っている楓と刹那に、タケルの動きがピタリと止まった。
「キミたちも……戦うのか?」
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