第34話「ネギまと俺〜倒錯する想い〜」
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しにその危険すぎる結論を固めたタケルがまずは先制しようと、足を一歩踏み出したときだった。
「ちょっと待ったでござる」
楓の声。
「……」
本来のタケルなら、そんな言葉に耳を傾けるはずもない。むしろ好機と一気に踏み込むだろう。
だが、自然と。
タケル自身すら意識せず、気付かないほどに本当に自然と。
条件反射的な行動だったのかもしれない。
足が止まり、耳を傾け、首が傾いていた。
ピタリと止まったタケルの様子に、満足げに頷いた楓は口を開く。
「もう、いいのでは?」
「なに?」
「拙者はもうわかってるでござるよ?」
「……」
「……タケル殿が、超殿を殺すつもりはなかったことを」
その一言に、空気が変わった。
「「!?」」と、カモと刹那が驚きにその顔を染める。後ろの木乃香が「あ、やっぱり」と小さく呟く。
超は一人で頷き、タケルは相変わらずの無表情。
「ど、どういう?」
刹那が困ったように小首をかしげ、タケルと楓の両方に視線を交互に送る。
「よく思い出すでござる」
「?」
「……超殿に刃を振り下ろそうとしていた時、タケル殿から殺気は?」
「……」
刹那が無言で顎に手を置き、じっくりと目を閉じる。
攻める好機かと一瞬だけ考えたタケルだったが、残念ながらそんな隙は見出せない。目を閉じながらもタケルへの警戒心を怠っていないのは流石な彼女達だ。
数瞬の後「あ」と、まるで風船が抜けるような声が彼女から漏れ出ていた。
「なかっ……た?」
「うむ」
「で、では全て私達の勘違いで?」
最後まで言おうとして、だがすぐに「いや、だが」と言葉を挟む。
彼が身の潔白を証明しなかったことは理解できる。雰囲気からして誰もその言葉を信用しようとはしなかっただろうから。
だが、それにしても不可思議な点があった。
「それならばなぜ、武器をとったのですか?」
タケルに、問う。
そう、確かに最初は武器を置く素振りを見せていたのだ。それで済ませておけば今のように争うこともなかったはずだ。
「……」
「タケル先生?」
答えようとしないタケルの代わりに答えたのは楓だった。
「また、化け物が出たのでござろう?」
「!?」
おそらく今日彼女達に見せた初めての驚きの表情に「図星でござるな」と、微笑む楓。 それらを目の端で捉えつつ、刹那が疑惑に心を奪われる。
「……化け物?」
――なんだ、それは?
楓に尋ねようとして、だが思い出した。
あれはまだタケルが教師として赴任してきて間もない頃。
一人で帰る刹那を襲った2足歩行のカメのような化け物がいた。
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