第34話「ネギまと俺〜倒錯する想い〜」
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「……」
タケル殿の明らかな挑発に、アスナたちの顔が険悪さを増していく。
「ま、あいつが甘ったれなところはさすがに変わらなかっただろうけどなぁ。いや本当にあいつの我侭さといえば――」
言葉は、そこで強制的にシャットダウンされた。
「――アデアット!!」
気付けばアスナが楓と刹那の間を抜けて猛然と襲い掛かっていた。
いや、彼女だけではない。
真後ろにはぴったりとクーがついている。
その瞳はかつてないほどに怒りに彩られていて、長らく友をやっている楓すらも初めて見たような形相だ。
「タケル先輩に……親がいない人間の辛さが分かってたまるもんですか!!」
ネギの過去を見たこともある彼女達だ。タケルの馬鹿にしたような発言を許せるはずもない。加えてアスナに至っては両親がいない。幼い頃から彼女なりに辛い思いをしてきたはずだ。
まるで自分までをも侮辱されたような気になってしまうのはいたしかたないだろう。
「――ま」
刹那の制止する言葉も、怒れるアスナとクーの耳には届かない。届くはずもない。慌てて二人の援護に回ろうとする刹那を、「刹那!」
楓が鋭くそれを止めた。
「……くっ」
その迂闊さに気付き、どうにか彼女は動作を中断した。
――そう、あれは罠。ネギをしとめたときのように、仲間を助けようと動く瞬間を狙ってこちらの戦力を削ぐ作戦。
動いてはいけないという悔しさに眉を震わせながらも、アスナ達の動向を見守るしかない。
「……三人」
タケルの呟きと同時だった。
アスナの背を飛び越え、ほぼタケルの死角から入ったはずのクーのとび蹴りに、タケルはいつの間にやら握っていた別の銃を発射した。
なにやら光る縄のような奇妙なものがクーに飛ぶ。
「ム!?」
慌ててアスナの肩を踏み台にして飛び上がった彼女に、だがそれは回避を許さなかった。
「え!?」
クーの飛び上がった後を追跡して体に絡みつき、そのまま床に3点のアンカーを打ち込んで体を固定。完全にその動きを固定した。
「自分のために怒ってくれるような人がいるネギを、本当に幸せモノだと俺は思っている」
どことなく、優しい声色だった。
「……え?」
一瞬だけ怪訝な表情を見せたアスナだったが、それでも振り上げていたハリセンを容赦なく振り下ろす。だが、まだ彼女ではタケルの相手をするには程遠い。
ハリセンがタケルの頭に直撃する寸前、彼が握り締めていたガンツソードの柄で、的確にアスナの腹部を真っ直ぐに打ち抜いていた。
「……っ」
一瞬、呼吸すら忘れるほどの衝撃を受けたアスナはそのまま地面に崩れ落ち、体を固体
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