ターン10 ノース校と選ばれし戦士(後)
[6/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
く。とっととその場を離れようとして、目の前に人が立っているのに気が付いた。
「よう。やっと終わったのか」
「随分念入りでしたね、先輩」
「まーね。よくまあこんなところにずっといたもんだよ………葵ちゃん、ついでに鎧田も」
なんでだよ。なんでお前らがまだここにいるんだよ。さっさと避難しててほしいなあ、色々面倒くさそうだから。という本音をぐっとこらえて、にこやかに話しかける。隙を見て逃げようかな、という考えがチラッと頭をよぎったが、それより先に鎧田が動いた。
「ついでに、か。そんな挑発には乗らないからな。無駄話は無しだ、本題に入るぜ。ああだこうだと長ったらしいのは嫌いだから、一言で言わせてもらう。ゲイルを返してくれ」
「………へ?」
ちょっと何言ってんのかわかりませんね鎧田さん。確かに鎧田からはBFのキーカード、疾風のゲイルを1枚譲り受けた。それで僕のデッキに入っていないならまだしも、ついさっき見せてくれって言われた時にちゃんとデッキに入れてることを示した。なのに、なんで返さなきゃいけないんだ。確かあのカードは制限になって余ったからってもらった奴のはずだし、その制限はまだ解除されてないはずだ。いやまあ、確かに使いこなせてるとは言えないんだけどね!
何も言わない僕に対してさすがに説明不足を感じたらしく、ゆっくりと鎧田が口を開く。
「まあ、その、なんだ。そもそもの話、俺が2枚目以降のゲイルを持ってるって話は嘘だったんだ。俺のこのデッキはサンダー四天王になったときにサンダーのアドバイスを元に組んだものだから、できた時にはとっくにゲイルは制限カードだったんだよな。だから、1枚しか持ってなかった。もっとも、あんなレアカード2枚も3枚も集められたかどうかわからないが」
ああ、それはちょっとわかる。一度、ふと気になってゲイルの相場を調べてみたことがあるからだ。もちろん売り飛ばすつもりはなかったけど、どれくらいのカードなのか調べてみたくなって。そしたら驚いたね、1枚数十万円の真紅眼カードほどじゃないにしろ、1枚数万円は下らないほどのレアカードだったんだから。あの時はそれを3枚も集めた鎧田すごいって思ったものだけど。
「圧倒的にビートダウン向けのその効果、そしてBFの中でもトップクラスに緩い特殊召喚条件、黒い旋風でサーチしやすいほどよい攻撃力………やっぱりあのカードがないと、俺のデッキは力を発揮できない。俺が光の結社、お前は残念ながらそうじゃない人間だってことは重々承知の上で、あえて頼ませてもらう。俺に、俺にゲイルを返してくれ!」
ど、どうしよう。なんて考えるまでもない。もし彼が光の結社でなければ喜んで、とまでは言わないまでもすんなり返していただろう。だけど、そうじゃない。ここは、心を鬼にすべきだろ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ