ターン10 ノース校と選ばれし戦士(後)
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け濃い霧だからね。煙と勘違いしたスプリンクラーが消火用の水を使ったんでしょ。熱感知?そんなもの、例えば天井あたりだけ超高温の霧が出てればどうとでもできるね。それじゃ、クロノス先生!避難誘導お願いします!」
突然呼ばれて慌てて立ち上がったらナポレオン教頭の服の裾でも踏んづけたらしく、どかどかと盛大に転ぶ音が2人分連続で聞こえてきた。どうにか起き上ったらしいクロノス先生の声が、今の騒ぎでも手放さなかったとみえるマイクで大きくなって辺りに響く。
『あー、あー、全校生徒の皆さん、及びノース校の皆さん。ただいま火災報知機が鳴りましたが、こういう場合は慌てず騒がず、なノーネ。私が誘導しますから、ちゃんと固まって決して走らないように避難するノーネ!』
いやだから、その誘導が見えないんだよ。そんな一同の心の中でのツッコミは届かなかったらしく、意気揚々として誘導をしようとするクロノス先生。立派なことではあるんだけど、マイクのスイッチが入りっぱなしだから今壁にぶつかったな、とかまた転んだな、っていうのが全部筒抜けなのはご愛嬌。だけど、これで邪魔する奴は全員どかせるだろう。ちゃんと避難誘導やってくれてるあの先生には感謝してもしきれない。ありがとうございます、クロノス先生。………あ、また壁にぶつかったのか。ちょっとやりすぎたかな、霧。
「夢想、翔、剣山。皆もほら、早く避難して」
「うん……って、清明君はどうするのさ?」
不安げに聞いてくる翔に、無言でふっと笑いかける。あ、見えないんだった。じゃあしょうがない、直接口で言おう。
「僕は、もうちょっとここに残ってるよ」
「ええ!なんでさ!早くこの隙に……」
「いやー、そうしたいのはやまやまなんだけどさ」
ここで一拍間を空ける。特に深い意味はないけど。
「この霧を抑えられるのが僕(の霧の王)しかいないからね。みんなが逃げた後でゆっくり霧を消して(もらって)、後始末だけしてから逃げるよ」
無論カッコ内は脳内のみのセリフ。葵ちゃんの前ではまだ精霊を出したことはなかったはずだから、もし聞いてたとしても僕自身がなにか怪しい力を持ってるんだと勘違いしてくれるだろう。
「ということでほら、行った行った」
「う〜………早めに帰ってくるんスよ、清明君!」
その言葉を最後に、残っていた気配が去っていった。さてと、一応もう少しの間はこの霧の中で待ちますかね。待ってる間、さっき見つけた飴ちゃんでも食べてようかな。
「まだ誰かいますかー、もう誰もいませんねー」
飴をすっかり食べ終わったぐらいのタイミングで、声を張り上げる。よしよし、どこからも返事がない。
「じゃ、やっちゃって霧の王」
みるみるうちに、電気の消えた部屋の中で霧が引いてい
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