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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン10 ノース校と選ばれし戦士(後)
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分なんとかなるだろう。勝ち誇った顔でそう言ってくる鎧田に、思いっきり笑ってみせる。

「やだね」
「あー?聞こえねえな。早く試合の続きを始めようぜ、って言ってんだよ」
「あっそ。いいよ別に聞いてなくても、どうせここでこの勝負は終わりにするし」
「何?お前らだけでそんなことできるわけが」

 ああまったく、これ以上はないくらい最高のセリフを吐いてくれる。そのセリフ、一つ一つが悪の組織の下っ端………ヒーローの逆転に痛い目を見る中間管理職ポジの悪者みたいじゃないか。こんな最高の舞台を作ってくれたなら、こちらとしても全力で期待に応えないとね。
 もっとも僕のやることはたった一つ。悪の軍団に追い詰められた一般人よろしく、逆転の切り札を呼べばいいのだ。さっとデッキケースに手をやり、当然のごとく手の中に納まった1枚のカードを高々と掲げる。これが僕の切り札だ!

霧の王(キングミスト)オオオォォッ!」

 瞬間、精霊体の霧の王がふわりとカードの中から飛び出てきて、任せておけと言わんばかりに頷いて手にした大剣を一振りする。みるみるうちにあたりがどこからともなく湧いてきた霧に包まれ始めた。それもただの霧じゃない、霧の王が生み出した魔法の霧だ。ふだん焼き菓子に使ってる安物の牛乳なんぞよりもはるかに濃くてきれいな白色が、数センチ先もよく見えないほどに辺りを埋め尽くす。いやー、精霊召喚が思いっきりできるってのは気分がいい。ちょっとスカッとできたし。
 当たり前だけどこれは想定外だったらしく、さすがの葵ちゃんも多少うろたえた声になった。

「こ、これは一体!?先輩、何をしたかは知りませんけどとにかく何かしましたね!ですが、こんなことをしたって何の意味も……!」
「そうだね。これだけやっても、多分こっそり逃げ出すのは無理だと思う。というか、こっちからも君たちどころか出口がどこかすら見えないし」

 これは嘘でもなんでもない。非常灯の明かりすらここからでは見えないのだ。だけど、僕の狙いは煙幕たいて逃げ出すことじゃない。

「だけど、そろそろじゃない?カウントダウン行くよー、5、4、3、2、1」
「い、一体何を」

 その言葉は、途中でかき消された。もっと大きな音が、頭上から響いてきたのだ。まず、不快感を感じるサイレンの警告音。そして、機械で合成されたよく通るけど無機質な声。

『火事です。火事です。デュエルルームにて、火災が検知されました。生徒及び職員の皆さんは、至急該当現場から避難してください。繰り返します。火事です。火事です………』

 その後一拍おいて、頭上から大量の水が降ってくる。おかげでびしょ濡れになったけど、そんな程度の犠牲かまうものか。

「この水………まさか、スプリンクラーですか!?」
「はい正解。まあ、これだ
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