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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン10 ノース校と選ばれし戦士(後)
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かかってたわけだ。

「まあ、そうですね。正確に言えば、すれ違わせた、ですけど。下手に私一人でいるよりも先輩の到着した時間と同じタイミングで帰ってもらえばいかにもそれっぽいですし、実際先輩もそれに騙されてくれましたよね。もう本当に、気持ちいいぐらいあっさりと」
「………悪かったね、単純で」

 くすくすと笑う葵ちゃんに、少しむすっとしながら返す。ちょっと前までこんな嫌味な子じゃなかったのに本当に人間変わるなあ、光の結社。なんか横の方で鎧田が酸欠の金魚みたいに口をパクパクさせてるけど、もしかしてセリフを全部葵ちゃんに横からとられたせいで話し足りないんだろうか。いつ口を出すか見守る意味も込めてもう少し放っておこう。
 それにしても、この時点でもう向こうの力関係もだいたい読めたね。やっぱこの学校の女の子はいろんな意味で男より強いのばっかりだわ。

「それでも、ですね。実を言うと、これでも計画通りじゃないんですよ?」
「へえ?」

 ちょっと不満げな様子の葵ちゃん。完全に僕は引っかかったのに、本来ならまだこの話に続きがあったらしい。

「いえですね、本来ならば先輩にも昨日の時点で私たちの仲間になってもらう予定だったんですよ。確かに私一人で先輩に勝つのはちょっと苦しいかもしれないですが、一度安心させておいてからの不意打ちという形、それに何より斎王様から力を頂いて光の波動を手に入れたこのカード、私の銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン)のご加護があれば十分に勝算はありました。ですけど………」

 そこで言葉を切り、一度僕の後ろで黙っている夢想の方にちらりと目を向ける。ああ、なるほどそういうことか。

「ですけど、まさか河風先輩まで連れてくるとは思いませんでしたよ。私だって1対1ならばまだしも、先輩たち2人を相手にして誰にも気づかれないように勝つことができると考えるほど間抜けではありませんよ。仕方ないので、昨日はひたすらばれないように専念してました。もっとも、河風先輩は気づいていたのかもしれませんが。昨夜は、絶対に私と先輩が二人にならないように随分気を使っていらしたみたいですし」
「あれ、そうだったっけ?」

 チラッと振り返ると、軽く肩をすくめる夢想の顔。

「言ったでしょう?嫌な予感がする、って。もし清明に何かあったら」
「ああ先輩方、もういいです。のろけはお腹いっぱいですので。さーてと、他に何か聞きたいことはありますか?なければ、試合の続きと洒落込みましょう?」

 多分のろけではないと思う。でもまあ、ここでそんなことに文句をつけるほど僕は野暮じゃない。むしろ夢想とのろけ話とか、その、正直嬉しい。今はそれどころじゃなさそうだ、ってことを除けばだけど。

「じょ、冗談じゃない!とっとと……」

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