魔石の時代
第一章
始まりの夜5
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る。首筋の傷はずっと気になっていたし、さすがに全く攻撃せずにあしらうというのは不可能だ。最小限に留めたつもりだが、それでも小さな擦り傷や打撲――あとは、凍傷がある。まぁ、その大半は最初の一撃によるものだが。
「俺は御神光。お前達は?」
彼女達はずいぶんと驚いたようだったが。その表情に苦笑しながら名乗る。
「私はフェイト。フェイト・テスタロッサです」
「アタシはアルフ。フェイトの使い魔だよ」
警戒するだけの気力もないのか――それとも、傷を癒した事で多少は警戒を解いてもらえたのか。二人は思ったより素直に、自らの名前を名乗った。
6
おかしな奴だ。御神光と名乗ったその魔導師は、どうにも得体が知れない。
「非殺設定? 知らないな」
あれだけ多彩な魔法を使いこなす癖に、光はあっさりと言い放った。フェイトと二人で絶句する。まさか今時非殺設定を知らない魔導師がいるとは思わなかった。
「勘違いしているようだから、一応訂正しておこうか」
アタシ達の呆れた顔を見て、光はむしろ苦笑したらしい。
「俺は魔導師じゃあない。魔法使いだよ」
にやりと、獰猛な笑みを浮かべて見せる。それは、ごく単純な脅しだ――が、その効果は抜群だったと言わざるを得ない。
「正義のための人殺しだ」
背筋に冷たい物が走り抜ける。人殺し。それがハッタリでは無い事くらい、もう嫌と言うほど思い知っている。さらには、二対一でいいようにあしらわれた。あの時、もしもほんの少しでも殺す気だったなら、アタシ達は今頃とっくに冷たくなっている。
「とはいえ、別に殺人狂じゃあないつもりだ。悪ささえしなければ別に何もしないさ」
悪さというのは、要するにこの世界の住人を巻き込むなという事だろう。もちろん、街にも被害を出す訳にはいかない。さらに言うのであれば――
「アンタも、ちゃんと約束は守って欲しいね」
アタシ達が交わした取引も遵守するしかない。どれか一つでも破ろうものなら、今度こそ彼は敵になる。そうなれば……まず間違いなく、今度こそ殺される。フェイトと大して年が変わらないであろうこの少年は、どういう訳だがアタシ達など足元にも及ばないほど戦い慣れている。……いや、命のやり取りに慣れていると言うべきだろう。その一点に関して、アタシが出し抜く事など、とてもできそうにない。
「もちろん守るとも。お前たちが裏切らない限りはな」
アタシ達は光の監視下で行動する。その代わり、回収が終了した時点で光が保有するジュエルシードはアタシ達が貰い受ける。そして、アタシ達は速やかにこの次元世界を立ち去り、光達の事は誰にも話さない。それが取引だった。他にもいくらか面倒な条件がつくが、遵守すればこの小僧が敵にならないというならそれだでも悪くない取引だと言える。
「アンタの妹はアンタ自身が説
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