魔石の時代
第一章
始まりの夜5
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に類する誰かの気配が感じられない。彼女達の文化においての成人が何歳かは分からないが、さすがなのはと同い年程度で独り立ちというのは早すぎるように思えるが。
「母さんは、研究で忙しいから……」
俺の言わんとする事を理解したのか、少しだけ寂しそうに、フェイトが言った。いや、本当にそれだけか?――僅かに右腕が脈打つ。
「なるほどな……」
その研究とやらの一環で、あの宝石を欲しているのだろうか。その考えは、正直少なくない不安を抱かせる。もっとも、そうだという根拠もないが。
(だが、それならなおさら目立つ気がするが……)
こんな高価な場所で、姉妹――事情を知らない者なら大体はそう判断するだろうし、見た目ならアルフの方が姉に見える――だけで生活しているというのは明らかに人目を引く。下手に通報されたら面倒な事になりそうだ。
(しかし……)
一通り部屋を見回って、いくらか気になる物を見つけた。具体的には、三つほど。どう優先順位をつければいいのか、何とも悩ましいが――
(そうだな。まずはこれから解決するか)
まずは一番手っ取り早いところから始末をつけていくべきか。それを見やり、ため息をついてからリビングに戻る。
「お前達、食事はどうしてるんだ?」
実際のところ、訊くまでもない。相棒――つまり、御神美沙斗と同じだ。覗き込んだゴミ箱には市販の弁当箱やらレトルト食品の袋やらが満載だった。それだけならまだしも、明らかに手をつけられていない代物まで捨てられている。量から考えて、単なる少食だと楽観できる状況ではあるまい。唯一空になっているドッグフードは……まぁ、アルフのものだろう。
もしもフェイトが食べているなら、偏食もいいところだ。
「フェイト、買い物に行くぞ」
彼女達に財布を用意させ、中身を確認する。資金としては充分すぎた。ため息をついて、告げる。ついでに、近くのメモ帳に最低限の調理道具を書き出し、アルフに渡す。
「お前はこれを買ってこい。いいか、街中で包丁を振り回したらダメだぞ」
「アンタ、アタシを何だと思ってるんだい!?」
喰いついてきたアルフを適当にいなしていると、フェイトが困ったように言った。
「あの、でも……」
「食事は基本だ。好き嫌いはあるだろうが――最低限、何か食べてもらうぞ」
しっかり食べていないから、あの程度でへばるんだ――言ってやると、フェイトは反論を一度は飲み込んだ。
「いえ、そうじゃなくて……」
だが、意を決して再び口を開く。
「調理道具なんて買って、誰が作るんですか?」
まぁ、この二人が料理を作れるとは思っていなかったが。しかし、真顔で聞かれると脱力を感じる。ため息と共に、呻いた。
「仕方がないから、俺が作る」
「ええええええええッ!?」
直後、二人が絶叫した。それは一体どういう
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