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その魂に祝福を
魔石の時代
第一章
始まりの夜5
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得して欲しいところなんだけどねえ」
 厄介な条件その一。アタシ達の他にもう一人、ジュエルシードを探している魔導師がいるらしい。それはいい。光の協力があれば、その程度は大した問題ではない。ただ、どうやらその魔導師は彼の妹と共に行動をしているらしい。彼の妹を傷つけないこと。それがまず厄介な条件だった。もっとも、それに関してはさほど悲観していない。素質は良いらしいが、話を聞く限り明らかに経験がない。それなら、フェイトやアタシの敵ではないだろう。さらに、非殺設定を使えば、傷をつける事もほとんどない。
「そうできればいいんだがな。アイツは意外と頑固なんだ。それに、まじめでね。ルール違反にはなかなか厳しいんだよ」
 厄介な条件その二。立ち去る前に、件の魔導師の前ではっきりと持ち去る事を宣言すること。そのあとの所有権争いは、この世界とは関係ないところでやれというのが条件だった。まぁ、どちらが違法行為かと言われれば明らかにアタシ達の方なので、あまり気は進まないのだが……この世界でやり合えば、もろともに光に殺されるだけだ。それに比べればいくらかマシだろう。これも、さっさと『あの場所』に帰ればそこまで問題にはなるまい。……アタシとしては『あの場所』に帰る事自体があまり気は進まないのだが。
「それにしても……」
 一方の光は、心なしか上機嫌のように見えた。自分の要求が通ったからだろうか。いや、違う。そもそも、アタシ達には要求に従わないなんて選択肢は与えられていなかった。通るべくして通った要求に、それほどの感慨などあるまい。
「非殺設定か。……アイツの願いは誰かに受け継がれていたってことかな」
 それが理由であるらしい。だが、アタシには誰の事だか分らないし、彼が何を言っているのかもさっぱり分からなかった。




 人は自らの思い込みによって判断を狂わせる生き物である。こうであるに違いない――自分の描いた幻影を、往々にして真実だと思い込むからだ。
 例えば、隠れ家と言えば粗末なあばら家だ。と、言ったような。
(とはいえ、これは別の意味で目立ちそうな気がするんだが……)
 フェイト達に案内されたのは、まさしく摩天楼だった。超高層マンションと言うやつだろう。これを隠れ家として使い捨てるとは、随分と豪勢だった。
 まぁ、この子たちが正規の手順を踏んで入室しているかどうかは分からないが。
「ここがアタシ達の部屋だよ」
 案内された部屋は、生活感がなかった。なるほど、隠れ家らしいと言えば隠れ家らしい。妙に所帯じみている自身の隠れ家を棚にあげ、そう評価する。
 とはいえ、気になる事がない訳ではない。
「お前達だけか?」
「そうだよ。さっきも言ったろ? 二人で行動しているって」
「いや、そう言う事じゃなくてだな……」
 フェイトの両親――肉親やそれ
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