第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
22.Jury・Night:『Howler in the Dark』T
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気削がれるから止めて欲しいナ〜ゴ』
「ンな訳ないでしょ。出来高よ、出来高」
先を行く最愛を追うように歩き出したフレンダ。それを追い、嚆矢もまた。
『で、今から何処に行くニャアゴ?』
先ずはその、根本的な問いから。少女達、振り返る。金色の髪、揺らして。冷たい色をした瞳、向けて。
「そうねぇ……そこのファミレスとかにしとく、絹旗?」
暫く居ない内に、随分と闇は薄らいだものだと思うほど、暗部には似つかわしくない金髪の彼女。
危ういほど、『普通』な。そんな、フレンダ=セイヴェルン。
「……打ち合わせに、そんなところは超使えませんから。どこか、手頃な場所があれば良いんですが」
どこか懐かしい程に、深い闇を思わせる……暗部そのものと言えるような、彼女。
安堵する程、『異質』な。そんな、絹旗最愛。
『……だったら、良い場所があるニャア。少し歩くけど、他の人間は見た事がないし、食事もできるナ〜ゴ』
そして、暗部の狂気そのものと言える程の『異形』――――『正体不明の怪物』が、其処に居る。
顔を隠し、名を偽り。能力を騙るのは……また、最底に帰りたくないから。
――例え、仕事でも。もう、彼処は嫌だ。嫌だ。嫌だ。
思い出す事も、もう。したくはない、あんな。ドブがまだ清流に見えるような、廃液の底になど。
刹那、思い出してしまいそうになる。見えたのは立ち昇る、熱く紅い炎。揮発油の胸糞悪い臭い、鋼鉄の悪意に満ちた硬さと鋭さ。腕の中で冷たく蒼く、消えていく――――……
「分かりました、そこにしましょう。良いですね、フレンダ」
「私は別にどこでも、落ち着けるならいい訳よ」
声に、正気を取り戻す。今、何を思い出しかけていたのか、嚆矢には分からない。もし、覆面がなければ、その呆けた面を見られていたかもしれない。
危ういのは、こんな時に意識を放る自分もかと、人知れず自嘲して気を引き締め直して。
『それじゃあ、案内するニャア。けどまぁ、遠いし……バイクにも三ケツはできないナ〜ゴ』
近くの駐輪場、そこに停めてある――――以前、三体の機械偶像に変えた車を二台の大型のバイクとした物を思い出す。
そして黒豹男は、煙草に火を燈す。口許の、ニタつくような配置のチャックを開けて銜える。紫煙を燻らせて。赤い硝子玉の瞳、煙草の火を受けて燃えるように。
『――――ココハ、禁煙区域デス。直チニ喫煙ヲ止メテ、移動シテクダサイ。繰リ返シマス……』
寄ってきた清掃ロボット兼警備ロボット、それを見て。
「ああ―――
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