第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
22.Jury・Night:『Howler in the Dark』T
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》った。
これが大能力者『絹旗 最愛』の『窒素装甲』か……。
思うのは、そんな事。彼とて、無意味にあんな事をした訳ではない。『探索』の神刻文字と『錬金術』により、彼女の周囲を解析する為だ。
地球の大気の中で、最も比率の多い気体『窒素』を装甲として纏う、文字通りの能力。
その密度を活かした防御力と攻撃力、更に窒素は不燃、無色無臭だ。知らなければ対処は先ず出来まい。
――斯く言う俺も、今漸く信じた。錬金術による物理的、神刻文字による魔術的な解析で、先ず間違いはない筈。
流石は大能力者だねぇ、隙がないや。
と、現実に意識を戻す。植え込みの中、目の前には――――金に煌めく瞳の黒い仔猫。
まだ、親に庇護されているだろう頃合い。それが、どうして一匹だけで。
『……成る程ニャア、お前も……一人ぼっちナ〜ゴ?』
その境遇に、連帯感を。仲間を見付けたような、喜びにも似た感情で右手を伸ばす。
にゃあ、と小さく鳴いて、人懐こくその手袋に刷り寄る仔猫。それに――――昨夜見た、あの夢の少女を思った。あの、温かな右掌の感触を。
『――――ンニ゛ャ?!』
瞬間、ズボリとばかりに引き抜かれた。足を掴まれ、一本釣りの鮪の如く。
「何時まで超休んでるんです? 時間も押してますし、超さっさと移動しましょう」
『わかっ、分かったニャア! だから、イダッ?! 引き摺らないでナ〜ゴ!』
それは、或いは意趣返しか。石畳に爪の痕を残しながら引き摺られて、投げ出される。会った初日も、この子に引き摺られた事を思い出しながら、正に猫の如き身のこなしで受け身を取りつつ立ち上がる。
見下してきていた眼差しは、いまや遥か下。本来、それほどの身長差がある。
「っていうか、アンタ……その格好で何時まで居る気よ? 結局、活動場所制限される訳よ」
体操選手の床競技のように着地を決めた嚆矢の傍らに、フレンダが立つ。その表情は、完全な呆れ顔。
『そんな事言われてもニャア。大体、脱ぐなって言ったのはしずりんナ〜ゴ』
「『しずりん』って、アンタ……麦野に聞かれたら、マジで殺されるわよ」
ニャハハ、と。人を小馬鹿にしたような表情を張り付けた、猫の覆面。その性悪猫が、懐から取り出した懐中時計を見遣る。
『で、今日は何の仕事ニャア? また、機密保持ナ〜ゴ?』
『輝く捩れ双角錐』を嵌め込んだ、その時計を。
「違うわよ。今日は、打ち合わせだけ。アンタと、私と、絹旗で」
『滝壺ちゃんとしずりんは高見の見物ニャア? それで、ギャラは同額とかはヤル
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