第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
22.Jury・Night:『Howler in the Dark』T
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ケットに仕舞い、見た目通りの外人チックな肩の竦め方で溜め息混じりに呟く。
それに、先程から瞑想でもしていたのかと言う具合でフレンダの言葉を聞き流していた最愛が、漸く目線を寄越した。
「確かに、超遅いですね。メールは何て送ったんですか、フレンダ?」
「結局、普通にな訳よ? 20時に、駅前広場集合って」
どうだ、とばかりに起伏のなだらかな胸を張る高校生。そんな彼女より、或いは『大きい』のではないかと思われる中学生は……。
「駅前広場は駅の両側に在るんですが……超どっちを指定したんですか?」
「……えっ? いや、だって普通、こっちだと思わない? 初めて会ったのもこっちだったし」
最愛はジト目でフレンダを見詰めて――――それに『思いもよらなかった』ふうに呆気に取られ、焦り出した顔をした彼女に呆れたように溜め息を吐いた。
「どうやら、『原子崩し』確定なのは、あの猫男だけじゃないようですね」
「いや、ちょ、マジで洒落になんない訳よ!?」
ゾッ、と顔を青褪めさせるフレンダを余所に、彼女は少し離れた位置に在る時計を見詰めて。残りは、十秒。
「……え〜っと、絹旗さん? 喉とか、渇いてません?」
「いいえ、ちっとも。私は、反対側を超捜してきますので――――」
実に腰を低く、揉み手しながら問うたフレンダ。しかし懐柔ならず、残り三秒で最愛は歩き出そうとして――――視界が、黒一色に。
『――――だ〜れニャアゴ?』
『黒豹男』の肉球付毛皮手袋で覆われて。背後の陰りにいつの間にか現れていた、『猫の無い笑顔』を暗がりに浮かべた彼。
そして最愛はその耳元に、気味の悪い合成音声で囁かれて。
後に、偶然にも近くにいた男性。丁度今日、『瑞穂機構病院』を退院したばかりの彼は、その時の事を後に語る。
『はい、もう四十年も生きてますが、今まで聞いた事の無い音でした。少し前に人が黒焦げになるのは見たんですけど、まぁそれは無関係ですね。ええ、メコッ、とか、グシャッ、とか……そんな可愛いものじゃありませんでした。え、例えるなら? そうですねぇ……聞いた事はありませんけど、全力で蛙をぶん殴ったらあんな音がするんじゃないんですかね? メメタァ、って』……と。
「……次に同じ事をヤったら、今度は超全力で『窒素装甲』を打ち込みますンで」
『これで全力じゃニャアとか、お兄さん戦慄ナ〜ゴ……』
優に二〜三十メートルも転がされた後、植え込みに突っ込んで漸く止まった嚆矢を見下ろして。
静かな怒りを湛えた最愛は踵を返すと、フレンダの方へと歩いていく。
――成る程、触って漸く|解《・
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