第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
22.Jury・Night:『Howler in the Dark』T
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なり『解散』等と言おうものなら、今度こそ冷たい眼差しだ。
「ふんだ、知りませんっ」
しかし、先程の言葉が尾を引いているらしく、飾利は素っ気ない。視線すら、此方にはくれなかった。
やれやれと肩を竦める。結局、解散は――――何の進展もなく、徒労だけを残してギリギリの19時まで。
「それじゃあ、また明日。飾利ちゃん」
「はい、じゃあまた。態々送っていただいてすみません、嚆矢先輩。それと、ジュースも」
「ただの『当たり』だよ。実質一人分しか払ってないんだから、気にしない気にしない」
飾利の寮の前で、送ってきた飾利が門扉を潜るのを見送る。彼女が手に持っていたジュースは、勿論確率使い『制空権域』によってなので、財布は痛まない。
それに、女の子の笑顔への投資とすれば、安いものだろう。
自分の分の缶珈琲を飲み干し、丁度近くを通り掛かった円筒型の『清掃ロボット』の真ん前に置く。外では数世代先のオーバーテクノロジーだろうが、学園都市ではそう珍しくもない技術だ。
ズゴゴ、と音を立てて、空き缶は吸い込まれていく。ロボットは『環境美化ヘノ協力ニ感謝シマス』と、予めプログラムされた通りの台詞を流して、清掃を続ける為に移動していった。
「さて、タイムリミットまで三十分かぁ」
腕章を外し、迫る時間に溜め息を。その癖、足取りは普段と変わらない。何なら、携帯を……自前の携帯を弄りながら歩く程の余裕。
開いたのは、インターネットのページ。後で探しだし、ブックマークした『あの』ページ。
「……へぇ」
読み進めながらまだそれなりに多い人並みを歩く。すいすいと、『運良く』誰にもぶつからずに。
無論、能力有ればこそだ。社会規範に照らし合わせても、好まれはしない行為である。
それでも、興味が勝つ。人が、態々自ら恐怖に近寄るように。
「んー、成る程ねぇ」
覗き見るのは、深淵か。興味を惹いた項目を幾つか。
「ふんふん、『外なる神』に『旧支配者』……うわ、スゲぇ数。ここらへんは後回しだな。先に……」
見るのは、『魔具の祭壇』なる項目。そこに有る――――
「『賢人バルザイの偃月刀』……刃にして杖、そして祭具、か」
鍛冶師の養子の性か、読み深める。青銅で鍛たれたという、その刀。或いは杖。
『門の神を召喚する』際に必要となるらしい、それを。
――『門の神』……その名は『ヨグ=ソトース』。『邪神の副王』であり『全ての時空に接する神』、『一にして全、全にして一』。
つまり、『時空移動』で
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