第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
22.Jury・Night:『Howler in the Dark』T
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像《イマジネイト》から具現まで至った君ならば、間違いなく――――顕在の域に至れる筈。いや、その『普遍』へも……その、更なる『■■』へも」
――『想像』? 『具現』? 『顕在』? ほとんど、意味は分からない。
だが、それは――――今に、始まった事じゃない。ニアルさんの言いたい事が分からないなんて、それこそ……山程。生まれた時から、分からない事など山程有った。
だから、深くは考えない。それも、暗部で生きる為の一つの技能。見て見ぬ振り、只の偽善を傘に着て。
否、偽悪か。元より、この命など――――
「では、これを」
サンドイッチとホットケーキのお代わりと共に差し出された、古めかしい羊皮紙。妙に、時代がかった……そういう風に仕上げられたのであろう、『魔導書の断篇』を。
「『断罪の書・断篇』です。…君の求めるものは、ここに詳しい」
「……はい、ありがとうございます、師匠」
言葉は、少なく。第一、傍らの二人が訝しむ目をしている。魔術の魔の字も知らない彼女らにとっては、一体、何の話をしているのかすら分からないだろう。
だから、ただ受けとるのみ。後の事は、後で考えればいい。そう、それで……時間は、まだある。
『それニャア、そろそろ閉店時間だナ〜ゴ。帰ろうニャアゴ、フレンダちゃん、絹旗ちゃん?』
断篇を懐に仕舞い、普段通りの合成音声。お道化る仕草、何時ものまま。この、闇の最底でも――――。
「超食べ終わってからなら」
「あんたはちょっと、黙ってろってな訳よ」
『さいですか、ニャアゴ』
肩を竦める。結局、それから約三十分の間は何一つ、動かずに。
ただ、何も知らぬままで、時間だけが過ぎ行く――――
………………
…………
……
夜天の下、歩く。まるで、殉教者の如く。暗闇の最中、警備員にでも見付かれば一発で補導だろう。
「ん――――……肩凝ったな」
左手を肩に、ぐるん、と右肩を回す。フレンダと最愛は、『送り狼は結構』というので見送った後。尚、対象は今も捜索中。見付け次第、捕縛に向かうとの事。
その後、二人を駅まで送り、バイクをもう一度預けて……今は、『対馬 嚆矢』の姿。
天魔色の髪に、黄金酒色の瞳で。暗闇に染まる虚空の直中を歩いていく。
そもそも。そもそも、虚空の無い場所などはありはしない。誰も彼もが、忘れているだけ。どんなに理論で武装しようが、その存在する場所そのものが、虚空なのだ。
喩え、幻想を殺そうが、あらゆるベクトルを変えようが、何の能力も無かろうが
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