第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
22.Jury・Night:『Howler in the Dark』T
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は目ぼしいモノは無し。飾利ちゃんの方は?」
「こちらも、特には。そう言えば……白井さんが捕まえた『偏光能力』の錯乱した状態を『雑な洗脳みたい』、って思ったそうですよ」
「洗脳、か……精神に作用する能力が関係してんのかな」
飾利の言葉に、暗部時代の情報を思う。昔知り得た、『超能力者』に関する実験。
――確か、居たな。『心理掌握』だかなんだかの、チビ助が。
何て言ったッけかな、名前が難しすぎて読めなかったのは覚えてるんだけど。
何処か、別の施設での『超能力開発実験』の情報だ。『彼』の開発実験を行っていた機関とは別、ただし――――他の研究所よりもよっぽど偏執的に『その上に座す意志』を目指していた『機関』が、どうにかして得たのだろう、その情報。
もう、この世の何処にもない。だから、今さら思い出しても意味はない。空虚そのものだろう。
「まぁ、超能力者の洗脳が雑な訳ないか……しかし、こうも尻尾が掴めないんじゃなぁ」
「そうですねぇ……音楽だとか、レシピだとかの偽情報も多くて、苦労して捕まえた使用者も意識不明になるから、元の木阿弥です」
「狙ってやってるんだとしたら、中々の策士だね、この事件の首謀者は」
背凭れに体重を預け、背伸びする。時間経過と共に自然と曲がっていた背骨が、ボキボキと盛大に鳴る。
そんな時だ、携帯が――――
「…………さて、飾利ちゃんの可愛い顔を見てリフレッシュしたし、もう一頑張りするかね」
「ななっ、何言ってるんですかぁ! もう、知りませんっ!」
学ランの、内ポケット。そこに仕舞う、『仕事用』の携帯が震えたのは。
飾利が苦手そうなからかい方をすれば、案の定。顔を真っ赤にした彼女は、自分の使っていたPCに向き直った。
「さて、と……」
その隙に、携帯を確認する。震えたのは二回、即ちメールだ。題は、『無題』。差出人の名前も『F』、嗜みとしての符丁。
『20時、駅前広場。遅れたら結局、私刑な訳よ』
非常に簡潔な一文である。それだけに、ひしひしと……不満のようなものを感じる。最後の『私刑』の部分は、素かわざとか。
「……お呼びだニャア、また寝不足ナ〜ゴ」
お道化ながら、他人に聞こえないように小さく口にする。魔術を能力と偽る『黒豹男』の口調のそれは、諦めるかのように。
指定時刻までは、あと五時間。初日と比べればまだ、余裕はある。問題は、この委員会活動をどうやって円満に時間前に終わらせるか、だが。
「そう言えば、白井ちゃんは今何処に居るんだろ?」
『将を射んとすれば、先ず馬を射よ』と言う訳で、先ずは話題を外に向ける。いき
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