第7話 雅礼二とかいう男
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たな。このまま調子を上げていってくれ。それでは次、けぇーんじょーーーうーーひーーでぇーーただぁーー????」
「はっ、はい」
次に呼ばれたのは権城。笑いをこらえる為に、相当顔が歪んでいる。
「最近3番を打たせているが、期待以上の活躍だ。イキの良い1年生の加入は大いに刺激になっている。だが……」
「は、はい」
形代はずいっと、権城の方に身を乗り出した。
無表情の眼帯ヒゲ面が目の前に迫ってきて、権城の顔面は決壊寸前である。
「お前、まだ文化部に入っていないらしいな。もう一ヶ月以上経つのに。」
権城の顔から、笑いの成分がふっとんだ。
そうなのである。まだ文化部に入っていないのである。あれもダメ、これもダメと言っているうちにどれにも決められないまま、何とかなし崩し的に誤魔化せないかと思っていたが、どうやら無理だったようである。
「早く文化部に入ってくれないと困るよ。このままでは、お前を大会に出せないからな。この学園には、そういう決まりがあるんだ。」
運動に偏るのも文化部に偏るのもダメで、両立の意思が見られない場合は、片方の活動に制限を加える。それが南十字学園の規則である。
「行く所が無いなら、ほら、美術部に行け。美術部に見学には?」
「いや、まだ……」
「なら明日にでも行くんだ。いつまでもブラブラしていてはいけない。」
「は、はぁ……」
強引に形代に勧められ、違和感を抱きながらも権城は頷く。
文化部探しの旅はまだ続く。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……そして、ここが美術部か。」
翌日、権城は美術部の部室前に立っていた。
そして、その部室は怪しかった。外から見るだけで怪しかった。どうしてここだけ廊下の灯りが青色なのか。どうしてここだけ部屋のドアがスライド式ではない、やたらと重そうな扉なのか。
他にも、窓がどうしてステンドグラスなのかとか色々突っ込み所はあるが、しかし、形代があれだけ勧めてきた手前、見学しない訳にもいかないだろう。
「失礼しまーす」
ギギ、、、と軋む扉を開け、中を覗く。
中は薄暗かった。権城は目を凝らした。
「やぁ、遅かったね。待っていたよ、権城英忠君」
若い男の声が響く。
キャンバスを広げ、両手にそれぞれ、筆とパレット。こちらに背中を向けていた。
そしてその男の視線の先には。
籠の中で、鎖に縛られている水色髪の少女の姿。
「……あ、お取り込み中でしたか、すんません」
権城は即刻扉を閉めて、ポケットの中からスマホを取り出した。
(何だよアレ!?監禁!?監禁だろアレ!変態だ!変態でしかない!110番だ、110番)
「おいおい、何をしてるんだ。君も早く入ってきたまえよ。」
権城
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