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SAO〜刹那の幻影〜
第四話
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 シーラが唐突に言葉を詰まらせた。その瞳に『驚愕』の感情が上塗りされる。理由は俺から見ても明らかだった。
 彼女の体が青い光に包まれたのだ。

「て、転移(テレポート)!?強制!?」

 今度は何だと大声を上げる前に、こんな状況でもよく通るシーラの悲鳴に似た叫びが俺の耳に飛び込んだ。
 『てれぽーときょうせい』という響きに馴染みがなく、パニックも相成って反射的にそれを漢字変換できなかった俺は、遅れることコンマ数秒後、ようやくその意味を理解した。と同時に、俺の体にも同様の変化が起きた。
 眼前が青白く濁った。風景、シーラの姿がだんだんと薄れていく。
 次の瞬間、青白い濁りが勢いよく瞬き、俺の視界を完全に白に染めた。
 空白の時間はそう長くなかった。



 気づいた時には、そこはもうイノシシたちの住まう草原ではなかった。
 地面を埋め尽くし、時折吹く風になびいていた草花はタイルの石畳にすり替わり、あたりには、木々や湖の代わりに、レンガでできた中世ヨーロッパ風の建造物が立ち並んでいる。
 間違いない。俺が初めてこの世界に降り立った場所、あの広場だ。
 周囲を眺めると、他にも多くのプレイヤーが佇んでいるのが見とめられた。さすが中心、賑わってるな、と一瞬のんきなことを思ったが、すぐに異常に気づいた。
 人の密度が尋常ではない。広場の端から端まで、眉目秀麗、色とりどりの装備を着こんだプレイヤーたちがひしめき合っている。
 皆一様にわけがわからないといった表情を浮かべていることから見て、恐らくここにいる全員、先の俺たちと同じ体験をしたのだろう。

「この数、多分、運営がプレイヤー全員を転移させたんだろうけど……何するつもりなんだろうね」

 いつの間にか隣で腕を組んでいたシーラが、目だけをこちらに向け、呟いた。
 離れてなくてよかったぁと、勢いづいて漏れそうになるため息を飲み込むと、俺はシーラと合った視線を外し、言った。

「さあ、な」

 直訳すればわからないということだが、それは嘘に等しい。
 見当はついているのだ。あの時、ログアウトのためにスクロールバーを下までなぞりきり、見つけてしまったあの異常。
 だが、だからこそ、俺にはそれを言うことができない。
 確信が持てないわけではない。ただ、何か嫌な予感がしてならないのだ。
 そんな葛藤の結果、沈黙が最良と見、シーラの訝しげ視線に耐える俺だったが、その甲斐なく、徐々に落ち着きを取り戻し始めたプレイヤーの群衆がざわめきを始めた。

「お、おい、これでログアウト、できるんだよな」

「GM……GM出てこいよ!」

「さっさとここから出せーッ!」

 時間が経てばたつほど、その騒ぎの『怒り』と『パニック』、そして『人数』が増幅していく。
 わめ
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