『夏休み』
[8]前話 [2]次話
夏休みの登校。
施設から逃げる為。
バスの定期は無い。
貸し出し自転車で行く。
峠を越えて何時間かかけて行く。
そのおかげで、より親密になれた子ができた。
クラスでも普通に喋ってた子。
明るくて良く笑ってて、おもしろくて素直な子。
零那に無いモノばっかり持ってて羨ましいと感じてた子。
そんな子が1人で、何をしてるでもなく、中庭にポツ-ンって...
声をかける。
『なんか用事で来たん?』
首を横に振る。
『...家から逃げてきてるだけ。』
『そっか...一緒やん。』
ビックリした表情で見てきて、すぐ笑いに変わった。
なにか、吐き出したそうだった...けど、心の闇を誰かに吐き出すのは凄く勇気の要る行為...
でも、吐き出したいなら、ほんの少しでもラクになるんなら、吐き出して欲しかった。
零那は、自分のことを話した。
施設から通ってること。
保護された経緯。
簡単にザッと。
暫く泣いてた桃ちゃんは、話し出した。
此処を受けた理由。
家庭環境。
中学でのイジメの事。
誰かに話すつもりも無く、グループの子も知らん事実らしい。
それは、お互い同じ。
少し解り合えたような、今からの関係が良くなるような...
登校してきてる別の科の子とも喋るようになった。
色んな部活を見て廻った。
零那は、入学当初、弓道か空手がしたかった。
同じ施設に、他校に通う3年が居て、フェンシングが強かったらしく、遠征や試合やら何かとお金がかかってたらしい。
だから零那は部活は見るの専門。
お金かからずに出来る部活や、マネージャーの手伝いとか色々廻ってた。
其れは其れで楽しかった。
サッカー部のOBから直々に指導して貰ったり、部室の掃除や飲料の買い出し...やりがいがあった。
テニスの球拾いは、ラケットに綺麗に乗せるのが難しくて、落として笑われたり。
コートにローラーかけるのも、2人でどっちが綺麗に出来るかって競ったり。
バスケは、人数が少なくて殆ど遊んでるような状態。
一番上手な人にフリースローと低い姿勢でのドリブルを教えて貰った。
楽しかった。
色んな部活に、迷惑かからん程度に教えて貰ったり手伝ったり。
色々さして貰えて、贅沢やなぁって思った。
施設にはなるべく遅く帰った。
風呂は浸からんから最後で良いし掃除も毎日する。
児童から文句は言われん筈。
毎日峠越えなあかんのがキツかった。
それでも施設に居るより断然良かった。
楽しく過ごせれた。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ