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王道を走れば:幻想にて
第三章、その4の3:サバイバル、オンボート
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っているんです?」
「どうにもこうにもっ、あるかよっ!教会の儀式は中断だっ!!教会と、ついでに俺の面目丸潰れ、ぃぃっっっっつ!も、もうちょい加減してくんない?」
「よくそのような事が言えますね・・・警護任務を全うできなかった挙句、聖鐘を叩き落した癖に」
「あ、あれは不可りょくぅううううっ!?!?!?」

 腕に走るびりりとした痛みに慧卓は悲鳴を上げて悶絶しかける。赤く染まった火傷にゼリーのような葉肉を塗っていたミルカは、手についたそれを拭い落として麻の包帯を手際よく巻いていく。そして薄い緑色の液体を納めた薬瓶を彼に渡した。

「アロエの葉を傷口に塗りこんであります。この治癒のポーションを飲めば、明日の朝には完治するでしょう」
「さ、サンキューな、ミルカ」
「・・・副官ですから、臨時ですけど」

 慧卓は一つ深呼吸をしてぐいっと薬瓶の中を飲んでいく。そして目を吃驚とさせて指を震わせつつも、それを嚥下し終わってげほげほと咳き込んだ。以前と似たような、舌根が縮まってしまうかのような強烈な苦味であった。
 慧卓は一つ息を吐いて、仄かな噴煙が上がっている教会の裏手へと目を遣りながら問う。

「そっちはどうだった?群集は落ち着いて・・・いないよな?」
「騒動自体は大したものではありませんでしたよ。ですが聖鐘が落下した時と火の手が上がった時には、ほんと、酷い有様でしたよ。中には喝采を挙げた奴も居ましたが」
「後で説教してやろうぜ」
「もうやってあります。・・・勢いの割には随分と鎮火が早いようで。てっきり後三棟は焼かれて、被害者も増えるものかと思ったのですが」
「騎士団の応援が早かったのと、熊美さんと一人の若い女性が尽力してくれたお陰だそうだ。死者が出なかったのも二人の素早い対応のお陰だよ」
「そう思うなら、もっと労ってくれると嬉しいのだけれど」

 掛かった壮年の声に二人は顔を上げる。頬に薄く煤を張った熊美であった。黒色のチュニックを召しており、中々に威厳のある姿である。
 二人は直ぐに立ち上がって、熊美に向かって労うように頭を垂れた。そして気付く。熊美の後ろには露出大目の黒々とした衣装を召した銀髪の女性が立っていた。

「誠お見事な活躍で御座いました」
「熊美さん、お疲れ様です。今度ご飯奢りますね」
「ふふ、有難う慧卓君、ミルカ君」
「・・・その人が、例の方でしょうか?」
「ええ、とても実直で機敏な子よ。パウリナっていうの。人命救助も手伝ってもらって、それに消火活動にも一役買ってもらったし、今日の英雄は彼女かしらね」
「いやいや、あたしはそんな英雄だなんて・・・」

 可憐な顔の前でパウリナは手を振る。猫っぽい顔立ちは困惑を浮かべているようだ。謙遜しているだけだろうと思った慧卓は、ミルカと共に彼女に向かって真
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