アカデミー編
将棋
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けの一手。
王を討つのではない、完全なる敵の無力化を目指しただけのその手で、シカマルは敗北を悟った。
「…あんた、これ読んでたわけか?」
どの手を尽くしても、数の違いはあるが、最善の手では王は討ちとられてしまう。普通の相手なら、すぐさまこちらが悪手うつなどの策を弄すれば、勝てる可能性はある。
けれど、王を討てる可能性のある一手をカトナが見逃すわけなく。そして裏を返せば、王を討てない可能性しかない一手をカトナは見捨てる。
相手の王を討つのではなく、自分の王を討たせない考え方のカトナでは、もう勝ち目はない、…もう、手はない。
もっと頭をひねれば、勝つ手もあるかもしれないが、絶対に勝ちたいわけではなから、そこまで考える気はない。それに何より、勝つことを目安にしていない相手に対抗する手は、今のシカマルにはない。
完敗。
両手を上にあげたシカマルの様子に、きょとん目を見開き、カトナは不思議そうになった。
勝ったことは理解しているようだが、先ほどのシカマルの質問は理解していないらしく、ぱちりぱちりと何回も瞬きを繰り返す。
「何が?」
「いや、いい。…サスケが困るわけだな」
首を振ったシカマルは、少駒を片付けようとしたカトナの手を掴む。
「もう一局、やってかね?」
「…時間、あるなら」
それを了承と受け取ったシカマルは、また駒を並べなおす。
サスケの頼みを叶えてやろうとは思うし、何よりも自分に勝つような戦い方をするカトナを面白く思う。
九尾だからと言って排他するのは面倒くさいし、正直怠いので、今までそういう話題に関わってこなかったが、サスケにどうしてもと頼まれ(というか脅され)たので話してみれば、案外、良い奴だという、大幅なイメージアップが彼の中で起きていた。
父であるシカクとの対戦も最近では飽きてしまっていたし、これはこれで、そこそこいい暇つぶしになるかもしれないなと、駒をさしながら、シカマルは思った。
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