アカデミー編
将棋
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―自陣の王が討ち取られなければ負けない将棋で勝つ。
たとえそれが自分であっても、カトナは迷いなく省く。
王を守るためだけに特化した戦い方。
それは裏を返せば、自分を犠牲にしてもいい戦い方。
もろ刃の剣。
「だから、あんたは負けない」
シカマルは知らない。
カトナにとっての王が誰であるという事を。
けれど、シカマルは分かっている。
もしも実戦になったならば、カトナが迷いなく、この将棋盤のような戦い方を行うことを。
まったく、とんだイカレ具合だと物思いにふけっているシカマルを見たカトナは少しだけ困ったような顔で笑った。また一手、うつ。
迷いのない一手は、またしても王を攻撃するための駒を排除した。
それによって、有益な駒がシカマルの手に落ちる。
それをみながら、カトナは言葉を紡いだ。
「強い…じゃ、ないんだね」
「強くねぇよ、あんたは脆い」
サスケが頼むわけだと思いながら、シカマルはもう一手うった。
将棋を指してくれと、彼奴に教えてくれと、自分に頼んできた彼に一体どういう事かと最初は思ったけれども、なるほど、これは確かにサスケの手には負えない。
自分を犠牲にし過ぎているカトナに負けているサスケでは、カトナのそれが危険だと気づかせることは無理だろう。
カトナのこれが悪手であることを気が付かせることが、出来ないだろう。
カトナが負けない限り、カトナの王が討たれない限り、これが最善策ではないことを気が付かせれないだろう。
そしてそれがゆえに、うずまきカトナは壊れたまま、なおらない。
だから、カトナに勝てる自分に頼んできたのかと思いながらも、シカマルがもう一手打とうとした時、
「歩兵でさ、将棋の王は討てないよね」
「…?」
突然そう切り出したカトナに、シカマルは目を細めた。
王はどの方向にも一マス動けるのに対し、歩兵は前に一マスしか進めない。
もしも、王のマスが先手の場合、勝つ可能性はまだなくはないのだが、しかし、どう考えてもその可能性は低い。ないといっても間違いはない。
それを今更言い出したカトナの表情をうかがえば、相変わらずの無表情だった。
「でも、飛車や香草、角行だったら討てる」
「まぁ、動き方に制約があるとはいえ、一マスじゃなくて一マス以上うごけるしな」
「それはそれぞれの個々があるからで、いってしまえば、もしも一対一になってしまえば、王に勝てる存在がいるってこと」
にやりと、カトナは笑った。
いつもの無表情を消して、拭い去って、全て無にして、一手うつ。
「だからこそ、全部、排除する」
ナルトを傷つける可能性を持つ敵全て。王を討つ可能性を持つ駒すべて。
ただ、排除するためだけの一手。無くすためだ
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