11話 『闇に浮かぶ紅き双眼』
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那、相手の女性が勢いよくマゥスンの右首筋に喰らい付く。
「 ─────!」
「 マゥスン!」
思わず名を呼んだランクは、すぐ様その場へ駆けてゆく。
「ぼ、ボクにはよく見えませんでシたけど、どうなったんでスか……?!」
「わたしにもよく分からなかったけど、マゥスンがどうかしたみたい……!」
「小っこいの、娘っ子! とにかく坊主の後に続くんじゃ!」
ドワーフのネリクの呼び掛けでビルとシファも走り寄る。
「 ────あ? どうしたってンだ、その女……」
ランクが駆け寄った時には、女性はマゥスンの足元に倒れ込んでいた。
「オマエは、大丈夫なのか……ッ?」
片膝を落とし、項垂れているマゥスンに声を掛けるものの、バンパイアに血を吸われた者に襲われると伝染するように、
その人間も下等ではあるが吸血鬼へと変貌する可能性がある為、今にも操られ出すのではないかと思ってしまうランク。
────しかし、マゥスンは黙ったまま何事もなかったように立ち上がる。
「噛まれたって本当? 身体のどこか、おかしくない?」
「 ………問題ない 」
シファに普段通り、無感情に答えるマゥスン。
「とにかく、回復魔法は掛けておくね。……<ケアルア>!」
「おねぇちゃん……、どうしたの? おねぇちゃん!」
ぴくりともせず仰向けに倒れている女性にすがり付く少女。
「この女……いきなし倒れやがって、どうしちまったンだッ?」
「 ………眠らせた 」
ランクの疑問にひと言しか答えないマゥスンの言葉を捕捉するかのようにビルが気づく。
「それってもしかして、睡眠系の黒魔法で、でスか……っ?!」
「魔族のバンパイアには通用せんだろうが、操られたオナゴは元々ニンゲンじゃから効いたんだろうな?……それにしてもあの状況でよくそんな余裕があったのう」
ドワーフのネリクは感心し、少女の父親と思われる男性が礼を述べてくる。
「 ………娘を守ってくれて、感謝するよ。その女性は、母を失くした娘の面倒をよく見てくれていた人なんだ。けれど娘には内緒で、近い内にこの町を出て行くと云っていたが────」
「で、どうするんだこの女は。目が覚めたら、町の人間襲うんじゃないか?」
別の男性が気味悪そうに尋ね、マゥスンが淡々と答える。
「暫くはこのまま動かない。────閉じ込めておけばいい」
「し、しかしなぁ、正気に戻らないんだったら閉じ込めとく意味もなかろうに! やっぱり、この場で息の根を止めといた方が……」
「わたし達に時間を下さい! 今すぐアースの洞窟へ行ってバンパイアを倒してくれば、その女性は正気に戻るはずだから……!」
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