暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
希望と絶望
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って宿屋に入ろうと

した時、隣に建つ道具屋からぞろぞろと四、五人の集団が出てきた。

ここ二週間参加していたパーティーのメンバーだ。

前を歩く男達はシリカに気付かず広場のほうに去っていったが、最後尾に

いた一人の女性プレイヤーがちらりと振り向いたので、シリカは反射的に

相手の眼を真っ直ぐ見てしまった。

「…………っ!」

今いちばん見たくない顔。迷いの森でパーティーとケンカ別れする原因に

なった槍使いだ。

顔を伏せ、無言で宿屋に入ろうとしたのだが──

「あらぁ、シリカじゃない」

向こうから声を掛けられ、仕方なく立ち止まる。

「…………どうも」

「へぇーえ、森から脱出できたんだ。よかったわね」

真っ赤な髪を派手にカールさせた、確か名前をロザリアと言ったその女性

プレイヤーは、口の端を歪めるように笑うと言った。

「でも、今更帰ってきても遅いわよ。ついさっきアイテムの分配は終わっ

ちゃったから」

「要らないって言ったはずです!──急ぎますから」

会話を切り上げようとしたが、相手にはまだシリカを解放する気はないよ

うだった。目ざとくシリカの肩が空いているのに気付き、嫌な笑いを浮か

べる。

「…あらぁ?あのトカゲ、どうしちゃったの?」

シリカは唇を噛んだ。

使い魔は、アイテム欄(ストレージ)に格納することも、どこかに預ける

こともできない。つまり身の周りから姿が消えていれば、その理由は一つ

しかないのだ。

そんなことはロザリアも当然知っているはずなのに、薄い笑いを浮かべな

がらわざとらしく言葉を続けた。

「あらら、もしかしてぇ………?」

「死にました……。でも!」

キッと槍使いを睨み付ける。

「ピナは、絶対に生き返らせます!」

いかにも痛快という風に笑っていたロザリアの目が、わずかに見開かれ

た。小さく口笛を吹く。

「へえ、てことは【思い出の丘】に行く気なんだ。でもあんたのレベル

で攻略できるの?」

「できるよー」

シリカが答える前に、今までのほほんと笑いながら話を聞いていたレンが

進み出てきた。

「そんなに難しそうなダンジョンじゃないしねー」

間延びした言葉を紡ぐレンをロザリアはあからさまに値踏む視線で眺め回

し、紅い唇に再び嘲るような笑みを浮かべた。

「アハッ、シリカ、まさかこの坊やと行くんじゃないでしょうね。間違い

なく死ぬわよ」

その時、レンが急にケタケタと笑い始めた。面白そうに。

さすがのロザリアも、レンの奇怪な行動に笑みを消し、怪訝な表情を見せ

る。だが

「おばさんこそ、バ
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