暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
希望と絶望
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剣
(
ダガー
)
かな、と思ったが、すぐに否定する。迷いの森で、ドラン
クエイプ二匹を倒した時、レンは武器を持っていなかった。
シリカが頭の中をクエスチョンマークでいっぱいにしていると、最も熱心
に勧誘していた背の高い両手剣使いが、レンの前に進み出る。
「おい、坊や──」
かなりお怒りのようで、額に青筋がたっている。
「見ない顔だけど、抜け駆けはやめてもらえるかな。俺らはずっと前か
らこのおねーさんに声をかけてるんだぜ。坊やも順序ってもんは知ってる
だろ?」
「うん、もちろんだよ」
レンは、この期に及んで、まだ笑顔を崩さずに言う。
「だったら──」
なおもいい募ろうとする両手剣使いに、シリカは割り込むように言った。
「あの、あたしから頼んだんです。すみませんっ」
最後にもう一度深々と頭を下げ、レンのコートの袖を引っ張って歩き出
す。今度メッセージ送るよー、と未練がましく手を振る男達から一刻も早
く遠ざかりたくて、シリカは足早に歩いた。
転移門広場を横切り、北へ伸びるメインストリートへと足を踏み入れる。
ようやくプレイヤー達の姿が見えなくなると、シリカはほっと息をつき、
傍らにいる少年を見る。
「……ご、ごめんね。迷惑かけちゃって」
「ああ、ぜんぜん気にしてないよー」
のほほんと笑いながら、レンは言う。
「モテるんだねー、シリカねーちゃん」
「……そんな…ことないよ。マスコット代わりに誘われてるだけなんだ
よ、きっと。それなのに……あたしいい気になっちゃって……一人で森を歩
いて……あんなことに………」
ピナのことを考えると、自然と涙が浮かんでくる。
「だいじょうぶ」
穏やかな声でレンは言った。
「絶対生き返らせれる。心配ないよ」
シリカは目尻に浮かんできた涙をぬぐい、レンに微笑みかけた。
不思議とレンの言葉は、シリカの心に染み渡って、ほぐしていった。
やがて、道の右側に、一際大きな二階建ての建物が見えてきた。
シリカの定宿《風見鶏亭》だ。そこで、自分が何も聞かずにレンをここに
連れてきてしまったことに気付く。
「あ、レン…くん。ホームは………?」
「へ?ああ、いつもは、二十七層なんだけど……、面倒だし、僕もここに泊
まろうかな」
「ホント!?」
何故だか嬉しくなって、シリカはぱんと両手を叩いた。
「ここのチーズケーキがけっこうイケるんだよ!」
「……………………ほほーぅ」
レンの漆黒の両目がキラーンと光ったような気がするが、きっと気のせい
だろう。
そんなことを言いながら、レンのコートの袖を引っ張
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