暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
希望と絶望
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、その全てが非売品の

レアアイテムらしい。

「えと……こんなんじゃ、ぜんぜん足らないと思うんだけど………」

「いーや、お金はいいよ。どーせ余ってたものだし」

そんなことを言いながら、少年は金を受け取らずにOKボタンを押してし

まった。

「ゴメンね、何から何まで……あっ、あたし、シリカっていうの。改めて、

よろしくね」

名乗りながら、少しだけ、少年が「君があの?」と驚く反応を期待したの

だが、どうやらシリカの名前は記憶にないようだった。

一瞬残念に感じ、すぐに自分のそういう思い上がりが今回の事態を招いた

んだと反省する。

少年は相変わらずののんびりした笑顔で、右手を差し出しながら

「僕の名前はレンホウ、レンって呼んで。改めてよろしくね、シリカねー

ちゃん」

言った。










三十五層主街区【ミーシェ】、白壁に赤い屋根の建物が並ぶ牧歌的な農村

の佇まいだった。現在は中層プレイヤーの主戦場となっていることもあっ

て、行き交うプレイヤーの数はかなり多い。

シリカのホームタウンは八層にあるフリーベンの街だが、もちろんマイ

ルームを購入しているわけではないので、基本的にはどこの街の宿屋に泊

まろうとそれほど大した違いはない。

最重要ポイントは供される夕食の味なのだが、その点シリカはここの宿屋

のNPCコックが作るチーズケーキがかなり気に入ったので、迷いの森の攻

略を始めた二週間前からずっと逗留を続けている。

相変わらずのんびりと笑っているレンを引き連れて、大通りから転移門広

場に入ると、早速顔見知りのプレイヤー達が声を掛けてきた。

シリカがフリーになった話を早くも聞きつけ、パーティーに勧誘しようと

いうのだ。

「あ、あの……お話はありがたいんですけど………」

受け答えが嫌味にならないよう一生懸命頭を下げてそれらの話を断り、シ

リカは傍らに立ってぽへーと笑っているレンに視線を送り、言葉を続け

る。

「……しばらくこの人とパーティーを組むことになったので………」

ええー、そりゃないよ、と口々に不満の声を上げながら、シリカを取り囲

む数人のプレイヤー達は、レンにうさんくさそうな視線を投げかけた。

まぁ、当たり前だろう。何が面白いのか判らないが、いまだに笑っている

レンは、どこからどう見ても、小学生にしか見えない。

特に高級そうな防具を装備しているわけでもないし、武器は──

そこまで考えたところでシリカには疑問が浮かび上がってきた。

──武器は?

そう、レンは武器を装備しているようには見えなかった。


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