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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
15:"ソレ"
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 ユミルは少しの間、泣き出すのを必死に我慢しているようだったが……すぐに立ち上がり、泣き止んでみせていた。表情こそ(よど)んではいたが……それからのユミルは……どういった心境の変化か、実に俺達の指示に従順で、大人しいものだった。

 宿の一階フロアに帰り、今こうして目の前にやや伏せた顔でちょこんと座る少女は、つい先程まで俺と激しい決闘を繰り広げていた相手だったはずだが……なんだかんだでそんな……しょげた顔をされると、こちらの調子が狂わされるというものだ。

「それで……なにからすれば、いいのかな……」

「あ、ああ……」

 俺達はそんな為に、なかなか会話を始められず、ついにはそのしょげた相手から上目遣いで話を切り出されてしまった。
 決闘に敗れたのだから、自分はどれから俺の提示した数ある条件を飲んでいけばいいのか、という話だろう。

「えっと……意外と従順だな。もっと渋るものかと思ってたんだが」

「べつに……悔しいけど、正々堂々とした決闘で負けてしまったから。それに、ボクもそこまで無粋じゃないよ。……嫌だけど」

 ボソリと本音を最後に付けたし、フイ、と目を逸らす。
 今では見慣れたその拗ねた仕草と声もどこかひしょげていて、やたら上手かったジト目もその鋭さが無くなっている。まるで飼い主に叱られる直前の猫のようだ。
 なんだか、俺が彼女をいじめている気分がしてきて……正直、非常に話を進めづらい。

「じゃ、じゃあまず……ユミルちゃんのビルドをきちんと確認したいから、スキルとステータスを見せてくれないかな?」

 俺の気分を察したらしいアスナが、ありがたくも代わって打って出てくれた。若干ぎこちない笑みだったが、それを見たユミルはこくりと頷いてくれた。俺達の間に次々とウィンドウが可視可能設定で現れる。
 俺は少し前に、アスナ達やマーブルさんからユミルの独特なビルドを説明を聞いていたが、こうして文字としての表記を見るのは俺達はもちろん、マーブルも初めてだった。一斉にその羅列に注目が集まる。

 スキルは《斧》《槍》《棍》の三つの両手武器スキルがほぼマスターされ、次いで《武器防御》《体術》もかなりの数値だった。ここまではどことなく俺と似た感じだったが……他のスキルが軒並み極めて低い。少しだけ訓練されたサブスキル《投剣》《隠蔽》を除けば、どんな脳筋だって少しは上げる《料理》等の生活系スキルから、驚くことに《索敵》《軽業》を始めとしたソロ必須スキルまでもがほとんど手付かずの状態だったのだ。
 ステータスもやはり極端極まるものだ。俺が身をもって体験したとおり、レベルの割りに高い筋力値、そしてレベルが一桁かと疑うほどの低すぎる防御値は、何度目を凝らしても錯覚ではなかった。

「数値で見ると、また極端だねー……。SA
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