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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
15:"ソレ"
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 困惑した俺はアスナ達と顔を見合わせ、そして特に変な点は本当に見当たらないという意味を込めた頷きを交し合った。
 そしてその総意を、俺は彼女を安心させるように言った。

「……うん、無い。ステータスじゃ、お前の怪しい点はなにもないよ、ユミル」

 ユミルはその言葉を噛み締めるように数秒沈黙した後、

「…………………そ」

 と、そっけなく答えて、ぷいと視線を横に逸らした。
 ――その時だった。
 もしかしたら、それはただの錯覚かもしれない。
 だが、俺はなぜか……その時の、拗ねて僅かに頬を紅潮させた横顔が、とても嬉しそうに見えた。
 それはなにも、ステータスに何らかの秘密があって、俺達がそれに気付かず、その隠蔽(いんぺい)に成功したことを喜ぶようなそれではない。
 何かを受けいられて純粋に嬉しそうな、ほっと安堵したそれに似た喜びに見えたのは……なぜなのだろうか。

「――えっと、それじゃあ次に、ユミルちゃんのアイテムリストを調べたいから……キリト君」

 と、俺の心の内の不思議な逡巡(しゅんじゅん)を、尋ねるアスナが遮った。チラリとアスナが俺へと視線を向ける。

「ん、俺がどうした?」

「キリト君は少しの間だけ、席を外してて」

「…………は? どうしてだ?」

 ユミルのアイテムリストを見ることと、俺の離席がどんな関係があると言うのだろうか。

「そうですよ、キリトさん。ここは素直に言う事を聞いてください」

「シリカまで……いや、説明も無しになんでそんなことを……」

「いいからっ、あんたはあっち行ってなさい」

 ややイラついた風にリズベットがシッシッと手を振って急かす。
 ……これはどういうことなのだろうか。少し頭が混乱してくる。

「な、なんだ……? ゆ、ユミル……? 俺はアイテム欄を見ちゃいけないのかっ?」

 当の本人に目をやってみるが……

「あ……う……」

 彼女はアイテムウィンドウを第三者可視設定にするボタンを前に、青い顔で指先を静止させ……ひどく狼狽(ろうばい)していた。その様子は落ち着かず、チラチラ俺達とボタンを代わる代わるに見ていた。
 さっぱり訳が分からず、俺はそのまま現状維持を続け……そして、

「……お願い! い、一分だけ待って!!」

「あ、おいっ!?」

 ユミルは突然席を立ったかと思うと、全速力で駆け出して二階へと姿を消した。間を空けずガチャンとドアが激しく開く音が届き、次に何やらバタバタと忙しない物音が。恐らく見せたくない『何か』をオブジェクト化し、室内の収納道具の中にでも隠したりなどして、アイテム欄を弄っているのだろうか。
 だが、ここでまず不思議なのは、ユミルがそんな暴挙に出ても女性陣が誰一人として彼
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