15:"ソレ"
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、自分に合わない能力もまた《力》だよ。それを活かせるかどうかは別問題だけど……キリト君はどう思う? この中で一番、そういうのに詳しいだろうし」
皆の期待の注目が集まるが、慌てて俺はいやいやと頭と手を振る。
「そ、それは買被りだよ。俺もそういった事に口出しできるほど偉くない。……ただ、どちらもMMOの醍醐味だとは思うし、本人の思うままにすればいいとは思うけど……ともかくだ。ユミルがこんなビルドを選んだのはやっぱり、そういった理由からだったんだな」
「どういうことなの、キリト君?」
俺の言葉にアスナは首を傾げた。
「戦ってみて分かったんだが……ユミルのビルドは、セオリーの真逆を突き進んだ結果なんだ。斧のクセに軽くて攻撃値の控えめな武器を使うし、槍スキルも駆使するのにリーチは本職と比べれば短い。普通のMMOだったら強力な上級スキルを集中して修練する人が多いのに、忘れられがちな初級中級スキルをひたすら鍛錬してる。それも――修練を重ねに重ね、スキルアシストの動きに重ねて自分も同じ動きをし、攻撃速度をさらにブーストさせられる程に、だ。特にあの《バスター》と《ハリケーン》は……アスナの《リニアー》を思い出したな」
「あー……」
アスナは昔を思い出すようにクスリと薄く笑い、他の者は成程と顎に手を当てている。その中でユミルだけは俺の言葉に頷いていた。
「その通りだよ。ボクは、みんながやらないような数値振りをしてきた。命懸けのゲームなのに防御力が低いってのは致命的だけど、今ここで重鎧でも着込めば……振りは遅くなるし、そのせいで攻撃力もガタ落ちする。足の早さも下の下になるし、そうして得られる防御力もたかが知れてるからね。他にもバランスが一気に崩れて、逆に弱くなると思う。それほど……もう、後戻りできないところまで来ちゃったからね」
ユミルは沈んだ顔でふるふると首を力なく振っていたが、ここでキッと表情を引き締め直し、俺を見た。
「だけど……ボクはこのビルドで今まで生きて来たんだ。今更気にしたって仕方ないよ……ボクはこれからも、このままで戦っていく」
意見を挟む余地がない程、キッパリとユミルは言った。
別に、そこに一言挟む気はなかったが……俺は別件で更に質問を重ねる。
「ただ解せないのは……そのビルドで育った結果、将来的に自分がそこまで強くなれると確信しての事だったのか、っていう点だ。ここまで極端な能力値だったら、同じ能力値でも個人によって強さも極端に違ってくる。そんな防御値だから、それこそ命取りになりかねない。なのにお前は……ここまで生き残れる
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