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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
15:"ソレ"
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Oでここまで(いびつ)なビルドが見られるなんて思ってなかったよ……」

 アスナの言葉は俺達の感想を代表していた。
 続いてリズベットが身をテーブルへと乗り出した。

「ユミルちゃん。どうしてこんな数値振りをしたのか、教えてくれるかな……?」

「……ちゃん付け、やめてってば……ピンク髪の人」

 ユミルはしょんぼりとしながらも、しっかりと嫌そうな顔をしてそっぽを向く。

「ピ、ピンク髪の人って……そんな呼ばれ方されるの、後にも先にもユミルちゃんだけだよ……」

 リズベットはまた苦笑しながらガックリと顔を伏せた。

「ユミル、ちゃん付けぐらい許してやれ。それに、俺達のことはちゃんと名前で呼ぶ約束だぞ」

「うっ」

 ユミルの肩がピクンと揺れる。

「うぅ……え、えっと……?」

 目は決して合わさないが、なんとかリズベットの方を向きつつ、少しもじもじしながらうろたえている。遠まわしに名を尋ねているのだろう。名を訊かれたと察した彼女は、もう一度苦笑してから手を差し出した。

「リズベット。リズでいいわよ、ユミルちゃん」

「リズ、ベット……。……でも、ボクは君達と友達にはならないって言ったよっ、約束にもなかったし、握手はしないっ……!」

 名こそ呼んだが、差し出された手には目もくれなかった。だが、当の本人のリズベットはそれでも少し嬉しそうだ。

「……まぁいいや。次は、ちゃんとリズって呼ばせるからね」

「……それで、どうしてこんなステ振りをしたかだけど」

 ニヤリと微笑んだリズベットにユミルは数瞬だけ頬を染めた気がしたが、無視する風に話を半ば強引に進めた。

「きっかけは、ただ単に、みんなと同じステータスに育っていくのがつまらないと思ったから。それだけだよ」

「……というと?」

 リズベットが重ねて問うと、ユミルは少し過去を思い出すように視界を巡らせた後に言葉を紡いでいった。

「……ボクは、このSAOが初めてのMMOだったからかも知れないけれど、ずっと不思議に思ってた。……みんな同じ傾向にビルドを育てていくのは何故なんだろう、って。せっかく自分の意思で色んな能力が割り振れるのに、『これが強い』って言う情報を頼りに、皆が同じように数値を振って、似たようなプレイヤーばかりになっていく……。それって、変だと思わない? それとも、ボクだけがおかしいのかな……」

 返ってきた予想外の問いに、俺達は揃って唸りをあげた。

「うーん、難しい問題ね……。確かにユミルちゃんの言うとおりだけど……」

「こんな命懸けの世界だし、強いって言われてるビルドにちゃんと育成していくのも、また正しいかなって思いますね……」

「情報が正しくないって言うわけじゃないけど
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