第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
四十六話 月の軌跡 後編
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抱いていると白い壁の一部がスライドし永琳が部屋へと入ってきた。
「永琳ッ!あんたわたしに何を―――――」
「良かったわ意識ははっきりしているようね。どうやら成功、第一段階はクリア、と」
怒鳴りつける輝夜の声など聞こえていないのか永琳は独り言の様にそう呟くと、
「それじゃぁ第二段階の確認を始めるわ」
永琳の掌に輝きが集まると同時に閃光が奔り輝夜の頭を貫き、否吹飛ばし鮮血が迸る。
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「――――――――――――わ……たし……なんで生きてるの?」
再び意識を取戻した輝夜が感じた事はまさにそれだった。確かに今自分は死んだはずだ、なのにどういう訳か生きている。月人は不老長寿を手に入れている、だが不死身でも不死でもないのだ。殺されれば死ぬ、そして現に今自分は永琳に殺されたはずだ、と。
「第二段階もクリア、と。―――輝夜何時まで寝ているのかしら?さっさと起きなさい」
未だに自らの血で出来た血溜まりで状況を上手く把握できずに呆然と仰向けになっていた輝夜に対し永琳は冷たい声音でそう言った。
永琳の言葉とむせ返る血の鉄臭さで意識が急激に回復し輝夜は上体を起こすと感情のままに言葉をぶちまける。
「永琳あんたわたしに一体何をしたのよッ!!どういう事なのコレはッ!!この事はお父様に報告するからねッ!!」
激しく怒声を上げる輝夜に永琳はゆっくりと近づきそして触れられる距離まで来ると、輝夜の前髪を力任せに掴み自身の顔に近づけた。まさに目と鼻の先に。
「-ッ!?」
「ハハハハハハッ!!面白い事言うわね輝夜!いい事教えてあげるわ、私と貴方はもう共犯者なの!一蓮托生なの!―――報告?好きになさい!でもねその時は貴方も処罰対象なのッ!!」
そこまで言うと永琳は床に向け輝夜を引き倒すと倒れた輝夜の頭を踏み付けた。
「今の貴女の状態を説明してあげるわ―――――」
永琳の説明によれば輝夜の意識がなくなった後彼女の能力を混ぜた不老不死の薬の製造に取り掛かった事。
理論はほぼ確立させていた為輝夜の能力さえ揃えば製造にはさほど時間は掛からなかった事。
製造出来た薬の量は三人分、そしてその内の一つを輝夜自身に使用した事。
「意識を操る薬の調合の方が大変だったわね……いっそあのままの方が良かったかしら?どう思う輝夜?」
「--ッ!?ふざけるのも大概にしなさいよねッ!!そもそも何でわたしに使うのよッ!!」
輝夜にとっての一番の疑問はそこだった。何故自分を被験者に選んだのかと。
「理由は幾つか在るわ。……一つは貴女だったらこの研究所に出入りしても怪しまれないから。これから新しい被験者を招き入れるにはリスクが高
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