第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
四十六話 月の軌跡 後編
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のかもしれない』―――――らしい。
そしてもう一つは……月においてこの能力が全くの無意味であるという事実がある。
穢れを排除し理論上不老長寿を手に入れた月人にとっていまさら永遠を操る意味は無く、一瞬の世界を動き回る意味も無い。どれだけ強大な能力であろうとも無価値なのだ。
当の輝夜も永琳に言われるまで自分の能力の事を本気で忘れていた。それ程にこの能力は輝夜にとって使えない個性だったりする。
「……はっきり聞くわよ永琳―――――一体何の為に?」
輝夜はそう言うとカップに口を付け中の液体を口へと流し込み、問われた永琳は真っ直ぐ輝夜をみつめそして微笑みながら、
「では誤解が無いように此方もはっきりと申します―――――お兄様を取戻す為にどうしても」
永琳がそう言った瞬間、輝夜は持っていたティーカップを永琳目掛けて投げつけた。中に残っていた液体は空中に四散しカップは永琳の額を打ち付けた後床へと落ち音を立てて砕ける。
「あんたねッ!!まだ諦めてないの!!お父様から警告もされたでしょう!!いい加減にしなさいよ!!死んだ奴の為に後何人犠牲にするつもりよ!!あんた頭おかしいわよ!!」
永琳の発言に輝夜は激昂するがカップを投げつけられた永琳は微笑を崩すことも無く輝夜を見つめている。そして、
「それで姫様、御協力していただけますね」
「〜〜ッ!!あんた人の言った事聞いてなかったの!!手伝う訳無いでしょう!!」
表情を崩すことも無くそう言い放つ永琳に輝夜は更に激怒しソファーから腰を上げると部屋の入り口へと向け足早に進んで行く。
――――が、その途中足が縺れその場に倒れ込んでしまう。それだけでなく体中の感覚が麻痺したかのように無くなり動けなくなる。
「ッな……な……によ……コレ……は……ッ!」
「姫様が予想通りの答えを返してくれて安心しました。もし承諾されていたら薬を盛った意味がありませんから」
輝夜はなんとか首を動かし傍にまで来ていた永琳を見上げ睨み付けた。文句や疑問を口に出そうとするがもはや口を動かすことすら出来なくなっていた。
「安心なさってください姫様、次に目が覚める頃には終わっていますから」
永琳のその言葉が輝夜が憶えていた最後の記憶だった―――――。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
輝夜が目を覚まし周囲を見渡すとそこはさっきまで居た永琳の部屋ではなくやたらと広い白い部屋であった。寝かされていた簡素な台から降りようとした時自分が着ている服が違うものだという事に気付いた。
薄い緑色のロングのワンピース状の者を着せられていたのだ。どうしてこんな服を着せられているのか?と疑問を
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