志乃「兄貴が表彰状受け取るとか滑稽」
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ったから、命令形で言ってやった。そこからはもう緊張なんて無かった。一度リビングに行って、お母さんに「兄貴のことは任せて」って言ってから、また階段の方に戻って兄貴の腕を掴んだ。その時点で、私の計画は始まっていたね。
私の目的は、兄貴を心の底から楽しませること。全てを『辞めた』兄貴を元に戻すこと。単純な話、放火未遂を犯す程に人間としての感覚が麻痺してる兄貴を矯正させるって感じかな。
そのために、兄貴をカラオケに誘って実力を確かめた。兄貴をからかってみた。そしてメンチカツを頼ませた。
ここでの私の予期してなかった事態は、兄貴が本当にメンチカツを頼んだ事と以上にキレのあるツッコみを返してきたこと。全く喋らなかった間柄なのにあそこまで普通に対応するなんて思わないでしょ。
弱音を吐いて本音を言わなかった兄貴に平手打ちを食らわせた。そこで改めて分かったのは、兄貴が相当腐ってるってこと。だから本当に悲しくて、ちょっとだけ泣いた。
でも、綾乃やケンとは普通に話してて、正直嬉しかった。私に対して嫌味な嫌がらせをしたのはムカついたけど。
風邪を引くなって忠告したのに風邪引いた時は、問答無用で窒息させた。あれはやりすぎだったと反省してる。
入学式の日、自己紹介で自分が年上だっていう事を言わなかったから私が言った。その理由について全く分かってない兄貴に呆れた。だからカラオケに誘って、私の考えを話した。兄貴が、昔の兄貴に戻ったような気がした。
そして、カラオケ店ジャック事件。私があそこで怒ったのは、あの男達の言い分に腹が立ったから。兄貴との時間を潰されたから。ろくに経験を積んでいない『ガキ』に子ども扱いされたから。でも、これが兄貴に時間を与える事も出来た。
その後、私は兄貴の想いを聞いた。それは、兄貴が私に本当に感謝してくれているという事だった。
素直に嬉しかった。兄貴にそこまで感謝されているなんて思ってなかった。ムカつく生意気な妹程度で終わってるものだと思ってた。
けど、その後の言葉は余計だったかもしれない。
――『お前が妹で、俺が兄貴だから。それが、俺がお前の悩みを聞く理由だ。お前が俺の悩みを聞いてくれた時のように』
普通、その言葉を聞けば優しい兄という風だろう。私も嬉しかった事は認める。
でも、それは違う。違うの。
私がやっているのは、兄貴を元の兄貴に戻す計画。兄貴に助けを求めるのはこの場では必要のないこと。それに、私が怒ったのは一部に兄貴を邪魔したのが理由なんだから、素直に言える筈がない。
それに、私はこの時兄貴に助けられる事に自尊心が傷付けられる感覚を味わってしまった。私は、自分で兄貴より人生経験が長い事を自負していたのだ。そんな自分がすごく恨めし
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