第百九話 戦いが終わりその十二
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「大きくなったな、人間として」
「成長したっていうんだね」
「ああ、いいことだな」
父として素直な言葉だった。
「本当にな」
「これならっていうんだよね」
「ああ、大丈夫だ」
確かな笑顔での言葉だった。
「二人だけでも」
「ちょっとお父さん、また何言ってるのよ」
「ははは、聞こえてたか」
「聞こえてるわよ、あんたも」
樹里はむっとした顔で弟にも言った。
「変なこと言って」
「けれどもう出来るじゃない」
「出来るって何がよ」
「だから姉ちゃんも十七だから」
年齢から言うのだった。
「もうね」
「結婚とか?」
「うん、出来るじゃない」
「馬鹿言いなさいよ、私まだ高校生よ」
樹里はむっとなったまま弟にこう反論した。
「そんなのまだまだ」
「先っていうんだ」
「考えも出来ないわ」
「今は、だよね」
弟も負けていない、ハンバーグを食べながら笑って言う。
「あくまで今は」
「引っ掛かる言い方ね」
「そうだろうね、けれどね」
「それでもっていうのね」
「お姉ちゃんも結婚出来るから」
そうした年齢にもうなっているからだというのだ。
「よく考えてね」
「変なこと言うわね、二人して」
「いや、俺はわかったよ」
「私もです」
中田と聡美は微笑んでその樹里にこう声をかけた。
「今のお二人さんならな」
「きっと上手にいきます」
「だからな」
「お幸せに」
「中田さん達まで」
樹里は口を尖らせてしまった、遂に。
「そうしたことを」
「何か全然話がわからないですけれど」
樹里の横でだ、上城もいぶかしんでいた。
「まあとにかく」
「とにかく?」
「終わりましたから」
戦いはとだ、中田に答えた。
「後はあの人が戻られるだけすね」
「そうだな、そのことはな」
中田は上城が気付いていないことに少し残念に思いながらもこう返した。
「早く戻ってくれるといいな」
「そうですよね」
「それじゃあな」
その話を終わらせてだ、中田はあらためて述べた。
「今度二人でな」
「はい、剣道の稽古をしましょう」
「剣道だからな」
中田はこのことを強調した。
「暴力は振るわないから安心してくれよ」
「あの先生とは違ってですね」
「やっぱり俺はああしたことは否定するな」
「絶対にですよね」
「ああ、ああいう奴がしているのは剣道じゃない」
決して、というのだ。
「暴力だよ」
「その通りですね」
「俺将来は子供にも剣道を教えたいけれどな」
「それでも」
「ああ、ああしたことはな」
とても、と言うのだった。
「絶対にしないさ」
「機嫌が悪いだけで子供を竹刀で何十発も叩いたりとか」
「防具の上からでもな」
「それは教育じゃないですね」
「暴力
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