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トワノクウ
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第十一夜 羽根の幻痛(三)
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うな敵意はない。あるのは嫌悪と、屈辱感。

「同級生とか彼岸人とか、よくも言いたい放題言ってくれたね。最低。妖だって知ってりゃ信じなかったのに」
「……っおる、ちゃ」
「呼ぶな。あたしは藤袴だ。その可愛い声にもかわいそうな顔にも、もう騙されない。ここで死ねよ、化物」

 信じていた。
 ほんの数日前まで間違いなく潤も薫も友達だった。薫はぶっきらぼうだったけれど決してくうを置いて行かなかったし、潤は言葉少なに、いつもくうを待っていてくれた。

 二人にとってはそうではなかった?
 潤や薫にとってのくうは、簡単に殺す決断ができるほど軽い存在だった?

「言っただろう」

 潤はピストルの激鉄を起こす。

「人と妖は敵対するものだって」

 くうに反論の術はなかった。



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