第百四十二話
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第百四十二話 後片付けの前に
春奈がだ、皆にこう言った。
「食べたしね」
「ええ、後はね」
「これからね」
「後片付けしよう」
こう笑顔で言うのだった。
「そうしよう。ただね」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「今日は余裕があるから」
時間があるからというのだ。
「ちょっと休まない?」
「食べてすぐ動かずに」
「そうしようっていうのね」
「牛乳飲んでね」
そうしてというのだ。
「それからね」
「そうそう、デザートもあるで」
亜美が春奈の言葉を受けてふと気付いた感じで言ってきた。
「オレンジな」
「オレンジなのね」
「実はうち買うててん」
それで今あるというのだ、実際亜美は懐から実に美味そうな柑橘類を出してきた、だがそれはオレンジというよりは。
春奈がだ、その柑橘類を見てこう言った。
「それネーブルよ」
「あっ、そっちかいな」
「ええ、オレンジというよりはね」
同じ柑橘類でも種類が違っていた。
「そっちになるわ」
「そやってんな」
「けれどネーブルもね」
それもと言う春奈だった。
「いいと思うから」
「ほな今から切ってな」
「一個ずつあるしね、皆で食べよう」
華奈子も言う。
「そうしよう」
「ええ、そうね」
「今から皆の分切るで」36
こうしてだった、七人はデザートのネーブルもそれぞれ食べて牛乳も飲んで一休みしてからだった、そうしてから。
春奈が七人にだ、こう言った。
「じゃあね」
「うん、今から」
「最後のお料理ね」
「お料理はやっぱりね」
春奈は皆に笑顔で言う。
「食器を洗って後を綺麗にするまでだからね」
「そうよね、それをしないとね」
「お料理を最後までしたことにはならないからね」
「最後の最後までしようね」
華奈子が応えてだった、そのうえで。
「じゃあ皆で手分けして」
「はじめよう」
最後の食器や鍋を洗うことと掃除にかかった、そうしたことも忘れない七人だった。
第百四十二話 完
2014・6・13
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