暁 〜小説投稿サイト〜
白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第4話『何もかもが例外の少年「……別に、怒ってるわけじゃないのに」』
[4/8]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
ってゆーか。その、何かフツーに接しちゃってたけど……結局、色々迷惑かけちゃって」
やはり怒ってるんだ──そう思うとまた焦ってしまって、しどろもどろで弁解を続ける。
「これで仕事のほうに影響が出たりしたら俺……何て謝ったらたらいいか……」
うつむいて続けた。
「先輩は有名人なのに」
──その言葉に目を見開く雪姫に、前を向いて俯いている少年は気づかない。
「ホント、今日はすいませんでした……」
立ち上がり、頭を下げて。
「……それじゃ」
そして病院に戻ろうとした時、
「まって」
きゅ……と、雪姫が計佑のシャツの裾をつかんできた。
─────────────────────────────────
走ってる間も、ベンチに座っている間も──雪姫はなかなか口を開けなかった。
胸がドキドキして一杯一杯だったからだ。
──なんだろうこれ……胸つかまれてた時より……なんだか苦しい……
ハプニングの接触にも、確かにドキドキさせられた。
一昨日の、ちょっとしたからかいの時にだって、ドキドキはしていた。
でも今、彼の方から、彼の意志で触れられた時──
これまでの動悸とは何か違う……なんだか『嬉しい』ドキドキを感じた。
そんな自分がよくわからなくて黙りこんでいたら、彼が弁解を始めてしまった。
──別に怒っているワケじゃないのに……
とは言え、こんな状況で黙りこんでいたら、そう思われるのは仕方のないことだろう。
それでも、感情を持て余している今はなんだか上手く話せる気がしなくて、黙って聞いていたら──
「先輩は有名人なのに」
──グサリときた。
そんな感じの言葉は、最近はよく言われる。
テレビに出る前から、自分を持ち上げるような言葉はよくかけられてきた。
聞き飽きて、寂しさを感じる事はあっても、もう痛みは感じなくなっていた筈なのに。
この少年から聞かされると、何だか耐えられなかった。
──去ろうとした少年の裾に、我慢出来ずに手を伸ばしていた。
─────────────────────────────────
「……え?」
振り向くと、雪姫が自分の背中を見つめていた。
病室から連れ出す直前は暗い顔をしていたが、今はなんだか悲しそうにして──
そんな表情も、また初めて見るもので。
けれど計佑には、彼女が今、何故そんな顔をして自分を引き止めたのかわからない。
「先輩……どうしました?」
「……そんな風に言うの……やめて」
雪姫が漸く話し始めた。まだ小さい、弱々しい声音だったけれど。
「……皆そう言うけど……好きじゃないの。そういうの……」
雪姫が、ちょんとつまんでいた裾をギュッと握りなおしてきた。
──先輩……?
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ