第六話、月村
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は体中が痛い。
溜息をついて、重くなった体を無理矢理に起こす。ふらつく体をなんとか支えて、取り敢えず顔を洗おうと洗面所に向かった。
「ふう。こんなものか…?」
片付けを始めてから約二時間。時計の針が6を指したとき、ようやく家中の片付けが終了した。
「さて、朝飯でも作るとするか」
綺麗に片付けた台所に立って、冷蔵庫の中身を確認する。
「しまった…なにも買っていなかった……」
扉を開いてみた冷蔵庫の中身は、昨日翠屋で買ったシュークリームしかなかった。
「はぁ…仕方ない。買ってくるか」
しかし、こんな朝早い時間からスーパーはやっていないな。だとしたら、適当なファストフード店か、コンビニにでも行ってみるか。
「ウンディーネ」
『了解です。認識阻害魔法を発動します』
こんな朝早くに推定七歳児がコンビニとかに入って行くのは少し問題がありそうだ。だから、少しだけど魔法の恩恵に与るとしよう。
認識阻害魔法で身長を170くらいに変えて、俺は家から出た。その際、鍵をかけることを忘れない。
『マスター、もう少し栄養バランスを考えて食事した方がいいのでは?』
「一食くらいなら問題ないだろう? 昼からはキチンとしたものを食べるさ」
サンドウィッチの最後の一切れを口に放り込んで、俺はテレビの電源を落とした。
結局、朝食は近くにあったコンビニのサンドウィッチで済ませ、ペカペカと点滅する携帯電話を開く。
『おはようラウル君』
「おはようございます、忍さん」
『予想通り、起きてたわね…ま、それはともかく。約束のものが手に入ったわ。今からそちらに迎えをやるから、来て頂戴』
「了解しました。ありがとうございます」
それじゃあね〜、という声を最後に通話を切る。
いや、流石は忍さん。予想以上の手際の早さだ。
「さて、待たせるのも悪い。早めに出ておくか」
幸い、身支度は既に完了している。あとは戸締りして家を出るだけだった。
「…おぉう」
きちんと戸締りをしてから、マンションの前まで来た俺は、思わずそんな声を漏らしてしまった。
「おはようございますラウル様!お迎えに上がりました」
「あ、ああ。ありがとう、ファリンさん…」
目を丸くする俺を迎えてくれたのは、月村家のメイドであるファリンさんと、その後ろに止めてある黒のリムジン。
たかがガキ一人の迎えに、こんな大仰なものが必要なのだろうか。それとも、月村はこういった車しか保有していないのか?
まあ、なにはともあれ。人通りの少ない朝方でよかった。
「どうぞ」
「お、おぉ」
ファリンさんによって扉が開かれ、内部の全容が明らかになる。
外装は完全に黒塗
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