第六話、月村
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の写真。これの裏に、年齢や誕生日とかの情報を書いてある。これさえあれば、戸籍の偽装はできるとかつて忍さんが言っていたのを記憶している。
「ふぅん…この娘たちがラウル君が居候してる家の人達なのねぇ。あらあら」
「ん?なんですか、その含み笑いは」
なんでもないわよー、と言いながら笑う忍さんを半目に見て、俺は諦めたように溜息をついた。
こういった含み笑いを忍さんがした時は、色々と厄介なことになることを思い出したからだ。
「取り敢えず、頼みます。詳しい事情は言えないんですけど、『人の命が懸かっている』。なるべくなら、明日中がベストです」
「あら、人命救助なんて本当に親子似てるわねぇ。いいわ、昔の好として久しぶりに全力出しましょう。明日中に、戸籍と適当なマンションの部屋を取ればいいのね?」
「いや、部屋は必要ないと思います。恐らく昔取っていたマンションの一室がそのまま残っているはず。そこを使うことにするので」
「ああ、あそこね。了解したわ。じゃあ明日連絡するから、取りに来てちょうだい」
「すみません、恩に着ます」
さて、これで当初の目的は達成できたわけなのだが。ふむ、時間が余ったことだし少しばかりジュエルシードの探索でもしてみるか。運が良ければ、いくつか回収できるかもしれない。
「では、お邪魔しました」
「ええ。また明日」
カタカタとコンソールを叩き始めた忍さんに一言掛けて屋敷から出る。見送ってくれたノエルさんに会釈をして、俺は月村邸を後にした。
「ふむ…流石にそう上手くはいかないか」
月村邸を後にして二時間近く。色々と海鳴市を見て回りながら魔力サーチャーを使用してジュエルシードの反応を探したが、結局一つも見つかることはなかった。
やはり、今回の件は長丁場になりそうだ。ヘルメスに、先手を打たれなければいいが。
「ん、そろそろ昼か…ここらで昼食を摂るとしよう」
現在地は駅前の交差点。駅前だからか、ファミレスとかコンビニは充実しているようだが。ファミレスは一人で、しかもこんな子供が入っていくには少し厳しいものがある。コンビニの場合は、ここから、これから生活するマンションが離れ過ぎていて、そこに着く前に空腹で倒れそうだから却下。
と、そこで俺はいい場所を見つけた。『喫茶‘‘翠屋”』。結構人気のようで、外から中を伺い見れば何人かの従業員が慌ただしく駆け回ったりしている。ハズレではないな、と思い、俺は入ることにした。
「いらっしゃいませ……一名様ですか?」
俺が入ってきたのに、少し目を見開き驚きを現にする若い女性の店員さん。まあ、そうだろう。俺の容姿を見れば年齢は大体分かるだろうし、それにこの世界の俺ぐらいの子供はほと
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