1人じゃない
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の状況を彼等に見せた事を。
(驚いてる?…あ、そういやアイツ、あん時寝てたんだ)
慌てるような物音が微かに聞こえ、ナツは眉を顰める。
が、すぐにその理由を理解し、小さく頷いた。
(事情は解らないけど、アイツ等は全て知ってる……なら、本音で追い払う)
ぎゅっと唇を噛みしめる。
ボスッと玉座に座り込むと、口を開いた。
「知ってるなら話は早いわ、今すぐギルドに帰りなさい。これは私の問題よ、アンタ達に口出しする権利なんてない」
『そうだな』
あっさりと、あまりにもあっさりとナツは認めた。
その呆気なさに少し驚きながらも、ティアは追及しなかった。
聞き分けがいい方が助かるのは当然だから。
――――――だけど。
『でも、オレ達は戦う』
ナツは迷う事無く、言い切った。
一瞬の安堵を全て砕いていく。
青い目が大きく見開かれた。
『ヴィーテルシアが言ってた。ティアはティアの意志で戦いに行ったから、自分も自分の意志で参戦する事を選ぶ。ティアが何を望んでようが、自分の意志で動くってな』
笑うような声だった。
その笑いは嘲るものではなく、いつも通りの明るい声。
『だったら、オレ達にだってその権利はある。お前のばーちゃんはイオリを低俗だって言った。血塗れの欲望のエストって奴はルーとアルカに辛い思いさせたし、オレはキャトルって奴に殴られてる。パラゴーネとかいう奴は、エルザの剣を捻じ曲げた』
あのエルザの剣を曲げるとかある意味スゲェ奴だよな、とナツは続けた。
こんな状況なのに、ギルドで話すように変わらず喋っている。
底抜けに明るい、真剣なんて言葉とは接点のないような。
『お前が助けに来んなって言うなら放っておく。だけど、オレ達には他にも奴等と戦う理由はある。イオリをバカにされたから、ルーとアルカに辛い思いさせたから、殴られてムカついたから。小せえ理由なんだろうけど、戦う理由なんてそれで十分だ』
それが当然であるように、ナツは言う。
ゆっくりと瞬きをし、拳を握りしめる。
「……じゃあ、その小さいのが戦う理由なら、私の事は放っておいてくれるのかしら?」
『無理だな』
震えそうな声を何とか偽って呟く。
が、ナツはそれをいとも簡単に否定した。
普段と何も変わらない声で、続ける。
『オレはイオリと約束したんだ。アイツはオレに、ティアの傍にいてほしいって言った。悩んでたら隣で一緒に悩んで、支えてほしいって。泣けない奴だから、守ってやってくれって』
余計な事を、と呟こうとして、止まる。
それがあの人なりの優しさなのだとしたら。イオリは
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ