1人じゃない
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魔水晶《ラクリマ》を取り出した。
「はい」
耳に当て、呟く。
すぐに声が返ってきた。
その声を聞いた瞬間――――――ティアは、目を見開いていた。
『ティア、起きたのか?』
そう問い掛ける声は、聞き覚えのあるどころじゃ済まないほどに知る声だった。
ティアから言わせれば、ガキでバカで破壊癖のある厄介な奴。
そして、自分とは対極にいる――――――いつだって誰かを信じられる奴だった。
よく言われるのは、“戦友”――――――いや、友人だとは思ってないから……なんと表せばいいのだろうか。
出来る限り平然を装って、呟く。
「起きた、って何の話かしら?バカナツ」
ナツとハッピーは、塔の中にいた。
階段を上り、扉を見つけては「敵ー!どこだああああっ!」とか何とか叫びながら扉の横の壁をぶっ壊し、誰もいない事を確認してから次へと向かう。
その為、2人が通った後は必ず壁が壊れている。
「ナツ、ティア大丈夫そう?」
「おう、割といつも通りだ」
心配そうに呟くハッピーに答え、ナツは耳を澄ませる。
魔水晶から物音は聞こえない。人の声も聞こえないし、不気味過ぎるほど静かだ。
『…聞いてるの?起きたって何の話?』
苛立ったようなティアの声。
それはギルドで聞こえる声と何も変わっていない。
――――――こんな状況であるにも拘らず、微塵も変わっていない。
まどろっこしいのは苦手、遠回しに、とかが出来ないナツは、単刀直入に尋ねる。
「お前、今どこにいるんだ?」
その問いに、返事が詰まった。
どこにいるのか―――――それを聞くという事は、その場所に来るつもりでいる。
つまり、奴等は帰ってなどいない。
帰るつもりなんて、毛頭ないのだ。
「別に…どこだっていいじゃない。ま、悪いようには扱われてないわ。普通よ、至って普通」
これは、彼等をこれ以上戦いに巻き込みたくないから、という優しさからくる嘘ではない。
奴等がいると自分本来の戦いが出来ないから帰ってくれ、という意味の嘘。
いや、全体の1割程度は本当だ。
まだ生きている分、悪い扱いではない。かといっていい扱いでもない。つまりは普通。
何の問題もない、とティアは密かに頷く。
『ふーん…それじゃ、枷はめられて眠らされてんのは“普通”なのか?』
が、ナツの問いに思考が止まった。
魔水晶を落としそうになって、慌てて両手で持つ。
(は…?何でコイツがそれを知ってるの?)
彼女は眠っていたから知らない。
血塗れの欲望のマスター、シグリット・イレイザーが彼女の今
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