1人じゃない
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ら。ま、アイツ等に諦めるなんて似合わないけど……それが1番好都合)
とある青年は、助けを求めないのは“妖精の尻尾のティア”でいたいからだと言った。
彼女自身は“カトレーンの裏側を知られなくないから”と綴った。
でも、実際にはそのどちらでもない。
(これで私は私の戦いが出来る。相手を傷つけて、ズタズタにして、死んでいないけど生きていない、私本来の敵の殲滅が)
彼等は、仲間の為に戦ってきた。
でも、相手を死の淵ギリギリまで追い詰める事はしなかった。
気絶程度で済ませ、仲間を救い出せればそれで彼等の戦いは終わる。
が、ティアは違う。
彼女に言わせれば、そんなの戦いとは呼べない。
(…私は“勝負”なんて最初からする気はない。起こすのは“小規模戦争”。生きるか死ぬかの、本当の戦い)
幼い頃から、戦う事で生きてきた。
死にたくなければ優秀になれ。
生きていたければ他を蹴落として頂上へと昇れ。
他を足場に昇り詰めろ。
ティアは、カトレーン基準の優秀にはなれない。
だから、戦う事に関して優秀になろうとした。戦って他を蹴落とし、他を足場に上を目指し続けた。
(優秀である事が全てじゃない、そんなのは解ってる。戦いで頂上に昇り詰めようと、結果的には何も変わらないのにも気づいてる。だけど――――――)
ぎゅっと唇を噛みしめる。
拳が痛いほどに握りしめられる。
(攻撃、戦いこそが私の真骨頂。戦わなければ、私は魔導士じゃない)
大海。
防御を捨て、攻撃する事だけに特化した元素魔法。
攻撃威力だけならギルドで3本の指に入るであろう、超攻撃特化魔法。
それは、生きる為に習得した、ある意味では生きる縁。
(……やるしかない。たとえ、それで全てを失ってでも)
ビィィン!と音が響く。
一瞬のうちに右手には水の剣が握られ、その切っ先を光らせていた。
ジャラリ、と左手首の枷から伸びる鎖を真っ直ぐに伸ばし、剣を構える。
(失うのにも何も得ていないのにも慣れてる。だから、私は大丈夫)
自分の中で、自分の考えに反対する思考が少しだけあった。
それを打ち消すように、自分に言い聞かせるようにティアは繰り返す。
そして、水の剣を鎖に押し当て、上へと持ち上げ―――――――――
「!」
鈴のような音が、耳に飛び込んできた。
この音をティアはよく知っている。
(通信用の魔水晶?)
ふと辺りを見回すと、割と近くに愛用するアイスブルーのショルダーバックが無造作に置かれていた。
剣を消し、バックに手を伸ばす。
ギリギリ届く距離にあるバックを指でこちら側に引っ張り、右手で手に取り、中から小型の通信用|
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