第九十六話 それぞれの野心
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だがシャルルは、そのアイディアを首を振って消し去った。
「駄目だ。所詮はマクシミリアン王の二番煎じ。インパクトに欠けるし、貴族たちが小国と侮るトリステインに協力を仰いだことが知れれば、『トリステインごときに膝を折った』と不満が続出するだろう……そうなれば大多数の貴族の支持を失い、王位どころではなくなる」
シャルルにとってマクシミリアンの改革は、自分が理想とする政治そのもので、大いに参考にすべきだったのだが、かつての自分が拠り所にしていた『魔法の天才』の座を渡さざるを得なくなった事と、若くして賢王と呼ばれるマクシミリアンに、シャルル自身気づかないうちに、マクシミリアンへ尊敬と嫉妬が入り混じった感情を抱くようになり、何だかんだと理由を付けて、マクシミリアンとの協力政策を不採用にしてしまった。
「もっと大きな成果が必要だ。父上も考えを改めざるを得なくなるような成果が……」
やがてシャルルの思考は、内乱に喘ぐライバル国に向くようになった。
焦りと嫉妬がシャルルの野心を表面化させた今、ゲルマニア内乱は新たな局面へと移ろうとしていた。
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